学習院大学法学部教授 小塚荘一郎氏に聞く
(3)新しい権利と変わらない論理

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聞き手 都築 正明
IT批評編集部

CA(Cybernetic Avatars)と共存する社会を目指して

先生のおっしゃるキャラクター権を用いると、どのようなことができるでしょう。

小塚 現在、科学技術振興機構が実施しているムーンショット型研究開発事業の目標1として「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」のプロジェクトが進行中です。これは、2050年までにさまざまな人が自分の能力を拡張したアバターやロボットを用いて生活する社会を構想するものです。

先ほどの「分身ロボットカフェDAWN ver.β」のように、さまざまなバックグラウンドを持つ方の社会参画だけでなく、生産能力も視野に入れたプロジェクトになるのですか。

小塚 背景としては、少子高齢化や労働生産人口の減少があります。AIにより身体的能力や認知能力、知覚能力を技術的に拡張したCA(Cybernetic Avatars:サイバネティック・アバター)と人間とが共進化して、サイバー空間とフィジカル空間を行き来しながら、新分野の開発を目指しています。

技術面だけでなく、社会的コンセンサスが重要だと思いますが、先生は法制度面での役割を担われているのでしょうか。

小塚 はい。CA法の醸成に関わる研究をしています。

2050年に実施するまでの中間目標はあるのでしょうか。

小塚 2030年をマイルストーンとして、CAの安全確保と社会受容の基盤を構築するとともに「倫理・経済・環境・法・社会(Ethical Economic Environmental Legal and Social Issues:E3LSI)」の各課題に対応できることを目指しています。そのために、2025年までに研究制度を構築することとしており、私もその一員として参画しています。

ムーンショット目標1が構想する2050年のサイバネティック・アバター社会(出典:2023年 科学技術振興機構(JST))

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