LA(Learning Analytics)で学びをつなげる
京都大学学術情報メディアセンター教授 緒方広明氏に聞く(2)

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聞き手 都築 正明
IT批評編集部

データで変わる教育の姿

現在は、LAについてどのくらいの実践研究が進められているのでしょう。

緒方 大学が10校、初等中等教育で20校ぐらいを対象にしています。

どのような大学が導入されているのでしょう。

緒方 滋賀大学、芝浦工業大学、帝京大学、神戸大学、熊本大学、東京都市大学、香港教育大学など国立私立を問わず参加しています。また滋賀大学は教育学部附属中学校でも導入されています。

初等中等教育では、どのような学校で導入されていますか。

緒方 京都市立西京高等学校・附属中学校は当初から熱心に導入されています。その他には滋賀県立大津商業高等学校、宮城教育大学附属中学校、宮城県富谷市立富ヶ丘小学校、仙台白百合学園小学校など、こちらも国公立・私立を問わず導入されています。また京都市立柊野小学校では、特別支援学級での実践研究も行われています。

これまで教育は「国家百年の計」といわれる一方で「総評論家」ともいわれて、客観性に基づいた議論がなかなか進まない面がありました。データとエビデンスで客観性が示されると、そのギャップを埋められるのではないかと思います。

緒方 おっしゃる通りです。戦後の日本は、新幹線をつくったり高速道路をつくったりというハード面では先進的でしたが、教育分野では遅れている面が多くあります。新幹線は人を運びますが、教育データの利活用によって地域をつないで知識を運ぶことができればいいですね。将来のことを先回りして教えることができない時代ですから、その時々で自己指導力を発揮して必要なことを学べるようにしたいと思います。

教育については政治の場でも日常会話でもよく話題になりますが、とかく印象論に流れやすい。データを参照するにしても、国際比較をみて進んでいるとか遅れているとかいう話に留まりやすいです。

緒方 確かにデータやエビデンスに基づいた話ができるようになると、どのような教育をするべきかということを、さまざまな立場の方が考えられるようになってくるかもしれませんね。

先生の展望としては、どのようになっていってほしいと思われますか。

緒方 私たちの開発しているような教育システムが日本のスタンダードになって、全国各学校の教育データが集約されて、どのような教育をすればよいのかがわかるようになり、より質の高い学びが実現するとうれしいです。日本に生まれれば日本語を話せるようになるように、人間というのは学ぶ生き物だと思います。その学び方について、個人に合ったものにできればよいですね。(了)

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