日本大学文理学部 情報科学科准教授・大澤 正彦氏に聞く
第4回 半自律AIが拓く人とAIの共創インタラクション:相互適応で生まれる新たな関係性
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2025.05.15
聞き手
桐原 永叔
IT批評編集長
心を読むAIが当たり前に隣にいる世界
ADHDや多様性を支える“心読みAI”の応用
先生はのび太とジャイアンがADHD(注意欠如・多動症)ではないかと書かれていましたが、そういうマイノリティと言われる人たちの多様性を、テクノロジーの力で社会に取り入れていくことで、多様性を実現することというのはけっこう重要かなと思っているんですけど、いかがですか。
大澤 技術がそういうものであるべきだと思っていますし、研究者はまず大前提としてそう思っているはずです。僕は眼鏡ってすごいイノベーションだなと思うんです。眼鏡とかコンタクトレンズは世の中に浸透していますよね。これが眼鏡やコンタクトレンズがない世界だったら、視力の悪い人たちは障害者だったわけです。眼鏡やコンタクトレンズが当たり前に浸透しているおかげで、支障なく生活することができています。技術は技術レベルが高いということも大事なんだけど、世の中に浸透して初めて、人のバリアをなくせるところはある。車椅子で移動している人たちが健常者ですと言われても、今はまだ納得してもらえないですよね。これは車椅子の技術レベルが低いというよりは、バリアフリーの浸透度が低いことが問題だと思うんです。素晴らしい技術がちゃんと浸透するようにしていくのはすごく重要だと思っています。同じように、ADHDを支援するツールも世の中にいっぱいあると思うんですよ。それが眼鏡ぐらい浸透すればいい。よく僕らは自閉症の人にとっての眼鏡をつくりたいよねという話をするんですけど、心を読むことが苦手な持つ人たちを救えるような技術をつくって、それが浸透して当たり前になる社会をつくりたい。心を読むのが苦手な人でも、心を読むのが得意なAIが隣にいるのが当たり前な世界になれば、ずいぶん救われる人がいると思うんです。