iU(情報経営イノベーション専門職大学)学長・中村伊知哉氏に聞く
第2回 テクノロジーが拓いた個人が世界とつながる時代

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

テクノロジーが培った“つくって繋がる力”

パンクの頃に言われていたDIYの精神みたいなものが、今、デジタルによって違うかたちで出てきています。

中村 はい、やっと定着したんじゃないですかね。若い世代はよくわかっていると思います。

初音ミクががブームになった頃に、すごくいいこと言っているボカロPがいました。「なんでメジャーに行かないんですか?」という質問に対して、「メジャーのミュージシャンが幸せそうに見えない」って答えていたんです。すごい時代精神を表していると思って。資本にコントロールされて好きなことができないのは不幸だという感覚ですね。

中村 今の子たちはみんなそうなんじゃないですかね。自分が1人でつくりたいものをつくって、それが世界の先端まで届けられるというのをリアリティとして持っています。

確かにおっしゃる通りですよね。昔はFMの海賊放送やろうと思っても装置がいっぱい必要でしたからね。

中村 しかも、今の子たちが我々の世代と違うのは、それでいくら稼ぐとか、何が欲しいという欲求ではなくて、目の前の人を幸せにしたいというふうに、欲求する対象が違ってきていている。生きるのが上手になっているなって感じはします。

生きるのが上手なんですね。

中村 今の時代に沿った幸せの持ち方だと思うんです。僕らの世代の価値観にあった、ものを所有するとかいちばんになるとか強いとかっていうのは、かっこいいと思ってなくて、逆に弱いほうが友達がたくさんできていいじゃないかと考えている。

そうかもしれないですね。

中村 進化とか成長を信じていなくて、一緒にみんなで楽しくやる。それがサステナブルだったらいい。

コンテンツをつくる、生成していく、ものをつくったり表現したりすることが、個人に解放されていっているのは、テクノロジーの力なんでしょうか。

中村 基本的にはテクノロジーの力だと思います。テクノロジーというか、ネットがもたらした効用のいちばん大きなことが、創作することと共有することを個人に解放したことだと思います。

技術的に創作するだけじゃなくて、広める力。これは大きいですね。

中村 そうですね。つくって繋がる力はガラッと変わったな。

以前は、そこは大きい資本がない限り無理だったことですよね。

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