勅使川原 真衣氏に聞く
第2回 働く現場で見た「生きづらさ」の実像
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2024.12.24
聞き手
桐原 永叔
IT批評編集長
仕事は人間単体で行われない
先ほどの話に戻りますけど、解答欄に答えを埋めるのは、おそらくAIのほうが得意だと思うのです。それ以外のことで人が仕事とかかわっていくとしたら、どんなやり方があるのでしょうか。
勅使川原 『働くということ 「能力主義」を超えて』(集英社新書)を書いたことにもつながるんですけど、そもそも仕事は1人の人間単体で行われてきていないということをもう1回認識する必要があると思っています。 1人の人間が行っていることを前提にしているから、その人が何ができるのかという意味での能力を知りたくなってしまう。けれども仕事は、いろんな凹凸のある水平多元的な人々によって、なんとか組み合わさってまわっているわけですから、わたしたちが本当に知るべきは、組み合わせの部分に関する情報だと思うのです。人の多様性というか凹凸について、シミュレーション的に、どことどこをつなぐとどういう変化が起きそうなのかの予測は、それこそAIが得意かもしれない。デジタルとの親和性はその方向性ではあるような気がしています。
私が関心を持っているのは、今まで上手に意見を言えなかった人たちが、テクノロジーの力で意見を言いやすくするなど、人が生きやすい方向へのテクノロジーの活用方法です。
勅使川原 なるほど、それができたら素晴らしいですね。