半導体エネルギー研究所顧問・菊地正典氏に聞く
第5回 日本が無視できない技術大国になるために

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

いかにして日本に頼らないとダメだというコアの技術をつくっていくか

菊地さんからご覧になって、日本が半導体分野で復興するにはどんなことが重要ですか。

菊地 政府の支援も重要だし、企業内での戦略の立て方、人材の育成とかも重要ですが、いちばんはビジョンを持つ人がどれだけ現れるかでしょう。技術の視野をどこに置くかが大事になってくる。5年後10年後にどうなっているのか、ターゲット見定めて、そのためにいま何をしなければならないか、何が不足しているか、そういうことをよく考えられる人が必要です。実際に、海外には戦略的に攻めてくる国や企業や人がたくさんいて、そういう人たちが相手になるわけですから。

アメリカの10年、20年、30年を考えている人と、足元しか見てない日本の政治家では話にならないですよね。

菊地 日本は産業をどうしていくというビジョンをちゃんと持って、それを国民に説得できる人がいないと難しいですよね。

とはいえ、AIの開発をやめる、半導体開発をやめるのは無理じゃないですか。やめたら一気に後進国になってしまいます。

菊地 あまり暗い話をしていてもしょうがないので、ラビダスが成功してくれて、熊本のTSMCもうまくいって、その技術が日本の他のところに波及していくのを願うしかないですね。最終的にはアメリカを中心にした経済安全保障の枠のなかでしか今のところ生きていけないわけですから、そこでいかにして日本に頼らないとダメだというコアの技術をつくっていくか。本当はアメリカだって、台湾の技術を全部アメリカに持っていったほうがいいと思っているかもしれません。だけど、それは現実にはできない。そこが台湾の強みだし、自分たちの安全保障を守る唯一の道です。日本もそういう意味で、無視できない国にならなければならない。

無視できないポジションを得るのは重要ですね。

菊地 技術開発の方向性も、そこを踏まえるべきでしょう。(了)

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