AIとミュージシャンとの合作で生まれる新しい音楽
東京都市大学教授 大谷紀子氏に聞く 第2回
コラボレーションでひろがる自動作曲の可能性
ASCIIコードの“AI”を表す「0100 0001、0100 1001」の歌詞からはじまる「AIとぼく」もキャッチーな楽曲です。人とAIとのパートナーシップ関係を書いた歌詞では、AIの記号接地問題もチャーミングな個性として描かれていて。
大谷 歌詞はコスプレの共同研究をした岡部大介先生と私が書きました。「akaihane」をつくったときは大阪にあるワライナキさんの事務所にパソコンを持っていって作業をしたのですが、岡部先生に話したところ、創作活動は殺風景なところでしてはいけないという指摘を受けました。岡部先生は認知科学者でフィールドワークの専門家なので、場の力を重視されているのですね。そこで「AIとぼく」の作曲では、岡部先生のコーディネートのもとで、本学にあった二子玉川夢キャンパスのフリースペースを貸し切って、机の上にも愉しそうなものを散りばめて制作しました。まずコーヒーを飲みながら雑談をして、アーティストも自動作曲システムも研究者もすべてフラットに取り組める状況をつくってから作業に入りました。
――多くの楽曲がDAW(Digital Audio Workstation:音楽制作ソフト)とライン録りで完結することも多いなか、とても贅沢な制作環境ですね。制作にはどの程度の時間をかけたのでしょう。
大谷 いっしょに作業したのは 3〜4時間です。できたパーツを彼らが持ち帰ってアレンジして、録音や歌入れをして、2〜3カ月で完成しました。ワライナキさんとのコラボでは「想像もつかないMIRAIへ」という曲もつくりました。またシンガーソングライターの白井大輔さんとは一般社団法人テラプロジェクトが進めている『みどりのサンタ』という植育イベントのテーマソング「みどりのサンタのテーマ曲」を制作しています。白井さんとは、日本AI音楽学会の事務局がある洗足学園音楽大学のみなさんとともに「きっとAI」という曲もつくりました。
AIとぼく