日本大学文理学部 情報科学科准教授・大澤 正彦氏に聞く
第4回 半自律AIが拓く人とAIの共創インタラクション:相互適応で生まれる新たな関係性
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2025.05.15
聞き手
桐原 永叔
IT批評編集長
取り巻く世界を前提にしていない科学技術は無意味
研究評価と「ドラえもんをつくる」という大きな志
お伺いしていて面白いと思うのは、AIそれ自体の話というよりも、AIを取り巻く現象として社会がどうあるかっていう視点が常にあることです。
大澤 取り巻く世界を前提にしていない科学技術は、われわれの科学技術ではないんですよ。だから、日本で有効な技術とアメリカで有効な技術はきっと違うはずなんです。決まりきったコンペで勝ちましょうっていうだけが僕らの勝負ではなくて、社会でどんなことが起きているのか全体として捉えなきゃいけないかなと思っています。必ずしもそういうのが論文として高い評価を得るわけではない。研究者をやっていると、どうしてもいい論文を書いて良い会議に通したいという欲に囚われちゃう。それは素晴らしいことですし、そういう研究もできるぞって示さないと研究者としての実力が疑われるので、一生懸命頑張るわけなんですけど、そこで評価されることを目的に生きているわけではなくて、ドラえもんをつくることを目指しているわけなんだから、自分の価値観は見失わないようにしていかなきゃなとは思います。
研究者の方は多かれ少なかれ、そうしたアンビバレンツな状況に置かれているんでしょうか。
大澤 ビジネスサイドの人たちとの違いですよね。ビジネスであれば、市場分析して、その市場に売れるものを売らなきゃいけないし、ターゲットになる人たちがどういう人たちなのかをちゃんとペルソナ立ててから戦略を立てます。ところが研究になると定量評価で再現性があって、誰でも同じ実験ができて、優劣を測れて、みたいなことを重視するから、そこが違うかもしれません。