開かれたマイニングマシンの可能性
GPUマシンNo.1企業ゼロフィールドのトップに訊く(1)
マイニングの運用からマシンの販売に方向転換
最初からマイニングマシンの販売に取り組まれていたのですか。
平嶋 最初はエンジニアのプロ人材のマッチングサービスをやろうとしていました。今でもそうですが、エンジニアの採用に悩んでいる企業はたくさんあって、いわゆるジュニアとかミドルの人たちだけで、システム開発をやっていると、どこかで技術的な壁にぶつかってプロダクトを育てられないという会社はけっこう多いんですね。そういう人たちが、シニアクラスのプロ人材に1~2時間相談して、アドバイスしてもらうサービスをやろうとしました。結局、起業する前に、マッチングビジネスをやるには資金力が不足しているという理由でアイデアだけで終わりました。創業して2、3カ月経った2017年の6月くらいから、暗号資産のマイニングをやろうということでミーティングを始めました。自社でマイニング工場とマイニングマシンをつくって、それで運用して利益を出そうと思っていたんですね。
最初は運用を考えていたのですね。
平嶋 そこから紆余曲折あって、マイニングマシンを売るビジネスに転換しました。当時はデータセンターも、北欧がいいとか東南アジアがいいとかいろいろ言われていたのですが、どこでも問題があってうまくいかない同業者をたくさん見ています。
電気代が安いだけではダメなんですね。
平嶋 北欧は寒すぎるので、マシンが止まったときに大変らしいです。あまり知られていないのですが、パソコンは暑いのもダメですけど寒いのもダメで、動作温度はだいたい5度から60度ぐらいだったりするので、氷点下でマシンが止まってしまうと、それを1個ずつドライヤー等で温めてから、電源を入れないと壊れてしまうんですね。寒くなりすぎると再稼働が簡単にできないところが大変だったりとか、あと、北欧の場合だと、そもそも人口が少ないので、データセンターの電気使用量が町で使う全部の量を超えてしまって、すぐに電気代を値上げされてしまう。入った時は安かったのが、値上げされて撤退するみたいなことも相次いでいました。東南アジアは、気候的には問題ないのですが、電気の供給が安定しない。電気が急に切れたりとか、過電流が入ってマシンが壊れたりとかあったそうです。
自然環境や社会インフラの問題があるんですね。
平嶋 モンゴルや中国の方にもセンターを建てる人たちがいたんですけど、まず最初に塀を建てる。周りにほとんど人がいないので、隙を見て誰かがマシンを持っていってしまうんですね。あとは、南米とか東南アジアは、電気をたくさん引いてくるためには自治体との交渉が必要になるのですが、足元を見られて裏金を要求されることもあったようです。
そんななかで平嶋さんたちが成功したのはどういう理由だとお考えですか。
平嶋 いい意味でお金があんまりなかったところですね。1歩ずつバランスをとりながら進めたのがかえってよかったかなと思います。2017年ぐらいのマイニング業界はすごい狭い世界で、大学生くらいの若い子が出資を受けてスタートアップでマイニング事業で起業するなんて話があった。今でも残っている会社はごくわずかです。資本の力でエンジニアが働かされるみたいな構図があって、そこが長続きしなかった原因かなと感じています。