上尾中央総合病院心臓血管センター長・一色高明氏に聞く
(2)医療DXの壁を超える──救急医療とテクノロジーの間に人が果たす役割
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2023.08.23
聞き手
桐原 永叔
IT批評編集長
AIが心筋梗塞診断に使われるのも間近
桐原 まさに今日伺いたかったことの一つに、心電図の波形はAIが学習するにはもってこいだなと感じているのですが。
一色 おっしゃる通りです。AIが最も得意なところだと思います。いまはどこの心電計も自動解析の機能はあるのですが、これは厳密にはAIではないんです。心電図の読影にはルールがあって、私たちは個々の心電図の波形をルールに当てはめて診断を出しています。このルールを機械的に当てはめて診断するのがいまの自動解析なんです。ところが最近、何十万人かの心電図をAIに学習させて解析したら、症状がなく医師が異常と認識していなかった人のなかから心不全や心房細動になる可能性が高い人を選別できたとする報告がでてきました。
桐原 そうなんですか。AIだったら可能でしょうね。
一色 プレホスピタル心電図をAIに学習させて活用するというのは面白いですね。それほど難しい話ではないので近未来的にはそういう方向に行くかもしれません。ただ、プレホスピタル心電図の意義は心筋梗塞の診断をするだけでなく、伝送することによるDoor to balloon timeの短縮にありますから、その部分は忘れてはいけないと思います。
桐原 AIに学習させるときには当然データが必要になってきますが、プレホスピタルのデータは貴重ですよね。
一色 はい。ほかにはない貴重なデータだと思います。ただAIに心電図を学習させようと思ったら何十万人レベルのデータが必要になってくるので国家プロジェクトで資金がないとできない話になりますね。