ソニービズネットワークス代表・小笠原康貴氏に聞く
(1)ネットワークサービスはこの25年で何を変えたか?

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取材・構成  土田修
IT批評編集部

オンライン授業を20年先取りした「フレッツオフィス」

日本で最も早くプライベートクラウドサービスをローンチする

2008年ごろにはソニー製のルーターもつくっています。データセンターにサーバーを置いて、サーバーの中で仮想的にサーバーを分けて、それぞれの仮想サーバーに対して、対応する企業の拠点ルーターがセキュアにつながるようになっていて、同じサーバーの筐体を、何社かでシェアして使いましょうという提案です。複数のルーターをwebブラウザを通して一括で設定したり、自動で保守メンテナンスができるような仕様にしました。

2006年後半から企画を開始しましたが、ルーターをつくるのに時間がかかってしまいました。ルーター専用のCPUだと、ネットワークを転送するのは速いのですが、アプリケーションを動かすには適していなかったのです。既存のルーターでは能力不足だったので、だったら自分たちでつくってしまおうということで、ルーターを開発しました。標準がいいと言いながら、結局ソニー独自のルーターをつくってしまうという(笑)。

企画をスタートしたときには「プライベートクラウド」という言葉がなくて、2008年にリリースしたときには、「VPN&ホスティング」と呼んでいました。カテゴリが確立されていなかったので比較は難しいのですが、仮想プライベートクラウドサービスとしては日本でいちばん早かったと言っても過言ではないと思います。

オンライン授業を20年先取りした「フレッツオフィス」

勤怠管理システムへの参入は、FeliCaの普及が目的だった

ソニービズネットワークス株式会社が法人化されたのが2012年で、私は2018年に取締役に入りました。

現時点で事業領域を見ると、戦略的に総務やHR周りのDX事業をやっているように見えますが、勤怠システムへの参入は、元々はFeliCaの普及を目的として2004年にソニー株式会社ではじめたことです。FeliCaは、ソニーが開発した非接触ICカードのための通信技術です。JR東日本の「Suica」をはじめとする交通系ICカードに採用されているほか、セブン・カードサービスの「nanaco」といった電子マネーサービスなどでも利用されています。

FeliCaは非接触型のICチップで、高速でセキュリティレベルが高く、他のICチップと比較するといろんな用途に使えるのが特徴です。これを普及させることを、私のいた通信事業の部署が取り組みました。当時、社員証にはまだICチップが組み込まれていなかったので、定期券以外の用途に普及させるには勤怠管理が適しているのではないかということで、FeliCaでできる勤怠管理サービスをつくったのが最初です。その他にも、POSやリモートアクセスの認証にもFeliCaを採用しました。カードにセキュリティレベルの高い格納領域があるので、そこに電子証明書を入れ、その証明書を利用した無線LAN認証とリモートアクセス認証のソフトウェアを開発しました。パスワードだとセキュリティに不安があり、電子証明書を使って無線LAN認証とリモートアクセス認証をできるようにしました。現在ではWindowsに各スタックが標準搭載されていますので、そのサービスは不要となりました。また、POSはビジネスとしてあまりうまくいかなかったので、これも取りやめにして、最後に勤怠管理サービスだけが残りました。2016年ごろに世間で働き方改革が言われはじめて、勤怠管理の事業が伸びそうだと踏んで、リニューアルしたのが、クラウド型の勤怠管理システム「AKASHI」です。

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