データとエビデンスで教育を変える ― LA(Learning Analytics)の視点から
京都大学学術情報メディアセンター教授 緒方広明氏に聞く(1)
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2023.06.23
聞き手
都築 正明
IT批評編集部
安定して働きつつリ・ラーニングできる環境が理想的
生涯学習の重要性は以前からいわれていますが、学習の糸口が見つからないことも大きいかもしれません。
緒方 「人生100年時代」と言われていますから、可能であれば学校にいるうちにそれを見つけてほしいと考えています。
近年よく「リスキリング」という言葉がいわれますが、いわば「リ・ラーニング」のようなことも必要な気がします。放送大学の受講者のほとんどが定年退職者だそうですし、大学でも25歳以上の占める割合が2%に満たないです。
緒方 アメリカでは、レイオフされて仕方なく大学に行っている人も多くいます。そうした人たちの再就職先が見つからないことも多いので、そうした社会や大学のあり方が必ずしもよいとは思いません。安定して働きつつ、必要や関心に応じて学習や研究ができるというのが理想的だと思います。私の研究室にも社会人学生が3名いますので、そうした企業も増えてきているとは思います。たとえば医療に関わる方々は、新しい治療法や医療機器が登場すると、それに合わせた学習をしなければなりません。学校に限らず新しいことを学びつづけるというのは重要になってきます。自己指導能力が身につけば、さまざまな職業の方が自律的に学習することもできると思います。数十年後のことは、だれにもわからないですから、学び続けることの必要性を感じている方々は増えているのではないでしょうか。
医療については、個人の既往歴や通院歴などをポートフォリオ化する動きも活発になっていますね。
緒方 そうなんです。教育についてもそうしたコンセンサスができるとよいと思います。