量子コンピューターを理解するための 量子力学入門
第1回 量子コンピューターを巡る誤解-なぜ「計算が速い」と言えるのか?
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2022.06.01
テキスト
松下 安武(まつした やすたけ)
科学ライター・編集者。大学では応用物理学を専攻。20年以上にわたり、科学全般について取材してきた。特に興味のある分野は物理学、宇宙、生命の起源、意識など。
誤解④:量子コンピューターは従来PCに取って代わる
まずは特化用途の専用マシンとして共存へ
量子コンピューターは原理的には、従来のコンピューターの”上位互換”であり、従来のコンピューターができることは実行可能なはずだとされている。しかし、従来のコンピューターのように、どんな用途にも使える汎用型のコンピューターになるかは現段階では不透明だ。その理由の1つは、上述したように問題ごとに専用の量子アルゴリズムが必要だからだ。量子コンピューターは近い将来に従来のコンピューターに取って代わる存在になるというよりも、特定の用途に絞った専用コンピューターとして、従来のコンピューターと共存の道を歩んでいくことになるだろう。
以上、連載の第1回では、量子コンピューターを巡る誤解について解説してきたが、「いまひとつピンとこない」という読者も多いかもしれない。量子コンピューターをより深く知るには、量子力学、とくに「重ね合わせ状態」についての理解が欠かせない。次回は「量子力学とは、そもそもどのような理論なのか」を解説していきながら、量子コンピューターについてより深く迫っていくことにしよう。