AIは「意識」をもつのか?
第5回 真の意味で脳を模倣したAIなら、人のような意識をもつかもしれない
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2025.02.21
聞き手
松下 安武
科学ライター・編集者。大学では応用物理学を専攻。20年以上にわたり、科学全般について取材してきた。特に興味のある分野は物理学、宇宙、生命の起源、意識など。
ニューロモーフィック・コンピュータなら人間のような意識が生じるかもしれない
大泉氏は既存のコンピュータ(ノイマン型コンピュータ)とは全く設計思想が異なるコンピュータであれば、人間の意識と似た意識が生じうるかもしれないと指摘する。それは「ニューロモーフィック・コンピュータ(neuromorphic computer)」または「脳型コンピュータ」と呼ばれるものだ。
大泉 ニューロンに相当する物理的実体、具体的には半導体の素子を実際に用意し、それらを使って脳におけるニューロンのネットワークの結合を模したものをニューロモーフィック・コンピュータと呼びます。既存のAIはアルゴリズムだけを人間の脳に似せたものですが、ニューロモーフィック・コンピュータは物理的な構造自体を脳に似せたものだと言えます。
ニューロモーフィック・コンピュータが実際に意識をもつのかどうか、どのような意識をもつのかは、個人的に非常に興味があります。そういうものであれば、人間と同じような意識が生じても全くおかしくない、というのが統合情報理論の予測です。
ニューロモーフィック・コンピュータによって、人間に近い意識のAIを作るという研究開発の方向性はあり得ると思います。ただ、そういったAIを作れたとして、実際にどのような産業的な意義があるのかは現状ではよく分かりません。既存のAIのように「機能」さえ人間に近いものにすれば、産業的には多くの場合、十分なのでしょうから。

ニューロモーフィック・コンピュータはまだ発展途上の技術だが、低電力消費などの従来型のコンピュータとは異なる特徴をもち、世界中で研究開発が進んでいる。