半導体エネルギー研究所顧問・菊地正典氏に聞く
第3回 TSMCに学ぶビジネスモデル革新の必要性

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

日本人が陥りがちな「勤勉」という罠

このTSMCのPDKの戦略はいつぐらいから始まったのですか。

菊地 最初からそうでしたね。

そうなんですね。ということは、別におたくに頼まなくても、他でつくるよって言われてもおかしくない段階からやっていたんですね。それはすごいですね。

菊地 創業者が、ファウンドリーというビジネスを育てていくには何が必要かって考えたんでしょうね。もう一つTSMCの私がすごいと思うのは製造ラインにおける装置の立ち上げやメンテ作業なんかを相当程度は任せるということです。やらせて責任を持たせることで、自分たちは楽をするという意味はあるし、工数もそこに割かなくてもいい。ただしナレッジだけ吸収する。

うまいやり方ですね。

菊地 ASML(オランダ)のEUVの露光装置1が典型です。ASMLの人がそうとう入ってきてメンテもする。

ASMLにしても、何百億という装置を買ってくれるわけですから、それは喜んでやりますよね。

菊地 ASMLのEUVの露光装置は、おそらく人類がつくった最高の製造装置ですよね。今考えても、よくそんなことができるなってくらいすごい。

ニコンとかキヤノンが追いつけないくらい、かなり先端的だったってことですね。

菊地 ニコンは、ある意味ではASMLよりも優れていた面があるんですよ。だけど息切れしたというか本格的にはできなかった。ニコンはレンズ技術にすごい自信があって、内製にこだわって、できるだけ技術を外に出さないようにやっていました。逆にASMLは、たとえばレーザーの技術なんかそうですが、完全にオープンにして、味方を増やしていきました。外向きか内向きか事業に対する姿勢の違いが出ていると思います。

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