NTTテクノクロス・大野 健彦氏に聞く
第4回 生成AIでナレッジ継承をサポートする

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

知識のアウトプットには生成AIは使い勝手がいい

桐原 技能継承プロセスにおいて、生成AIは具体的にはどんなふうに使われますか。

大野 問い合わせですね。ドキュメントを読むのではなくて、わからないことがあったら問い合わせるというのをRAGのシステムを使ってやっています。検索エンジンだとなかなかドンピシャの答えが出てこなかったのが、生成AIを使うことによって、かなり曖昧な検索でも答えが出てくるようになりました。今までの検索に比べれば可能性が広がったなと思っています。じゃあ、RAGに何を入れるのかと考えたときに、書き手視点のドキュメントばかり入れていると、いまいちな答えしか返ってこない。読み手にとって役立つ情報が入っていないと、生成AIがどんなに頑張っても答えが出てこないんですよ。そこを「MEISTER」の手法を使ってお手伝いしています。

桐原 ライオンさんが使っている生成AIはNTTの「tsuzumi*」を使っているんですか。

大野 ライオンでは「tsuzumi」は使われていないですが、NTTデータとしては他のお客様向けに使おうか検討をしている状況と聞いています。まさにNTTが研究開発中の技術でして、いわゆるクラウドに置かなくてもオンプレミスでというところがポイントかなと思っています。セキュリティが厳しい現場は山ほどあって、クラウドは使えないんだというところで、使われていくんじゃないかなと思っています。

桐原 問い合わせに生成AIを活用するということですが、チャットボットみたいな使い方ができそうですね。

大野 チャットボットで問い合わせると、漠然とした問いでもナレッジが出てきます。私自身も自分のところでつくった「勘どころ集」を弊社の生成AIのRAGのシステムに入れると、驚くほど相性がいいことがわかりました。多少言葉がずれていても、生成AIがいい感じに吸収してくれるから、欲しい情報が出てくるんだと思います。

桐原 アウトプットするときには、生成AIは使い勝手がいい。

大野 そうですね。生成AIの特徴は、断片的に散らばった情報を繋ぎあわせてそれらしき答えを出してくれるところにあります。別々の階層にあっても、RAG側で検索をかけて繋ぎあわせて割といい感じに出してくれて、それが人にとって理解しやすいことになるんじゃないかなという風に思っています。

tsuzumi*:NTTグループでは、「tsuzumi」を用いた商用サービスを2024年3月に開始した。tsuzumiは軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデルで、既存のLLMの課題である学習やチューニングに必要となるコストを低減するとしている。

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