半導体のカーテン、コンピューティングパワーの天井
技術、経済、地政学から現在の論点をみる
第4回 中国への先端技術輸出を制限する地政学的意味

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テキスト 桐原 永叔
IT批評編集長

中国の脅威は、軍事力と経済力にある。だからこそ、この根幹にあるコンピューティングパワーに歯止めをかけることは国家間の攻防において最重要である。冒頭に書いたように、半導体の限界はコンピューティングパワーの限界であり、コンピューティングパワーの限界は軍事力と経済力の限界につながる。「次世代AI発展計画」も半導体の発達がかなわなければ実現しない。グローバルなサプライチェーンから疎外されれば、先端半導体の開発は不可能とはいえないまでもそうとうに困難な道になるはずだ。

2018年以降、トランプ政権は、政府機関の中国の通信機器メーカーであるHuawei(華為)やZTE(中興通訊)製品使用禁止措置から始め、中国企業への規制をさまざまに進めて、2020年には上海の半導体ファウンドリー企業であるSMIC(中芯国際集成電路製造有限公司)をエンティティリストに追加し輸出規制を実施するなどした。つづくバイデン政権では2022年、「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」を施行し、中国への先端技術輸出を制限する枠組みを強化した。さらにはアメリカ商務省が新たな半導体規制でNVIDIAやAMDの高性能AIチップの中国への輸出を制限して半導体製造機器に関する制限も拡大した。

日欧の企業もこれに追従するかたちで中国への規制を強化している。

翻ってみればこの国際政治の流れが、生成AIブームと相まって日の丸半導体の復興、サプライチェーンの強化といった日本政府、企業のダイナミックな動きにつながっているともいえるだろう。

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千葉 敏生 (翻訳)

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