オズールジャパン代表 楡木祥子氏に聞く
(2)障がい者の幸福をはこぶハイテク義肢
義肢がもたらすボディ・イメージ
AIにより装着者に寄り添った義肢が実現する
マイクロプロセッサにAIが搭載されることのメリットを教えてください。
楡木 義肢においてはセンサーリングとアクチュエーターのエンゲージメントが重要ですが、AIによって、より装着者の動きを学習して動作に生かすことができます。たとえば片脚が義足の方の場合には、もとの足に合わせたリズムで歩きたいわけです。また早く歩くときとゆっくり歩くときとでは、力の加減も異なります。AIが搭載された義足では、その方が歩いたデータを学習していきますから、バランスよく歩くことができます。AIが搭載されていない場合、マイクロプロセッサはだれかがプログラミングしたソフトウェアによって動きが決まります。そうすると、設計者の設定したところがゴールになります。たとえばアイスランド人が想定した動きは、日本人の体躯や動きには合わないところがあるかもしれません。AIによって、そうしたギャップが埋められていくわけです。
機械学習によってプログラムに可塑性を持たせることで、その人らしい義足を実現するわけですね。
楡木 AIが搭載されているのはオズール社の製品だけです。技術工学と電子工学とが、なかなかマッチしていないのが現状です。
日本はものづくりが得意だといわれていますが、この分野でリーディングカンパニーが登場しないのはなぜでしょう。
楡木 技術水準としては、日本が本気になればできないことはないと思います。実際に当社の製品にも日本製の部品が多く使われています。日本は長らく戦争もなく、地雷による被害もありません。なにかあればすぐ病院にも行くことができますし、予防医学が発達していて糖尿病などで四肢を切断することも少ないので、ニーズは多くありません。もちろんそれは素晴らしいことですが、どんなに素晴らしいものをつくっても、必要とする方々に届かないというジレンマは感じます。
3Dプリンタをつかって量産することはできないのでしょうか。
楡木 実際にそうした製品もありますが、いまは成形するところまでに留まっています。歩くためにはかかとからつま先の部分に弾力がなければなりません。いまのところ、カーボンファイバーに勝る材料はありません。3Dプリンターの材料は、まだそこに追いついてないのが現状です。
最先端の義足にはどのような機能があるのでしょう。
楡木 こちらに用意しました(写真参照)。膝部にあるPower Kneeは、階段を登るときにモーターが作動して膝を持ち上げたり伸ばしたりしてくれます。また足部のPROPRIO FOOTにはモーターとAIが搭載されていて、つまずきづらくなっています。人が歩いてるときは、爪先を上げているのですが、義足の場合にはそれができませんでしたから、どうしても爪先が引っかかってつまづきやすくなります。この製品は、歩いているときにモーターで爪先を上げてくれます。また椅子から立ち上がるときには足首の角度が変わって荷重がかかるのですが、それを支えてもくれます。

今後の課題などはありますか。
楡木 自動なので装着者が重さを感じることはあまりないのですが、電池を軽量化したいと考えています。
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