日本が真の生成AI時代を迎えるための条件
GPUマシンNo.1企業ゼロフィールドのトップに訊く(2)

一見ブームを迎えているように見える生成AIだが、平嶋氏はAIエンジニア不足が解消され、企業のデータに対する意識が変わらない限り、日本での生成AI活用の時代は来ないと見ている。優れた技術者が正当に評価されない日本のIT業界に対する考えや変革を志した起業への想いについて訊いた。

平嶋 遥介(ひらしま ようすけ)
株式会社ゼロフィールド代表取締役CEO。上智大学理工学部情報理工科、上智大学院理工学研究科卒業後、NTTデータに入社。銀行向け勘定系共同センターへの機能追加・開発などを担当。2017年に株式会社ゼロフィールドを創業し、暗号資産関係のビジネスを展開。金融系システムやブロックチェーン関連の深い知識と豊富な経験を有しており、CTOとして開発チームを牽引しながらも、経営者として成長の道を歩む。2023年8月より代表取締役CEOに就任。
株式会社 ゼロフィールド(ZEROFIELD, inc)
所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦3ー4ー1 グランパークタワー32F
事業概要:AI・ビッグデータ関連システム開発・運用事業/多用途高性能パソコン販売・運用事業
目次
- ビットコインのETF承認の影響
- 技術をしっかり理解して提供していく王道を目指す
- 「AIだから間違えないはず」という幻想を捨てない限りAI活用はできない
- スキルを身につけたら裕福になるような社会が実現できたらいい
ビットコインのETF承認の影響
ブロックチェーンはいつぐらいから勉強されていたのですか。
平嶋 銀行のシステムをやっている当時にはじめて知ったと思うのですが、ちょっとバズワードっぽい感じがして、技術者は盛り上がっても、一般受けはどうなんだろうという感じで見ていました。本当にしっかり勉強しだしたのは、ゼロフィールドを創業してアービトラージ1を始める時ですね。
興味を持たれたのは、ブロックチェーンの思想としての面白さと技術としての面白さのどちらでしょうか。
平嶋 技術的にはすごく面白いと思いました。使っている技術は、全然新しいわけではないんですけど、それをうまく組み合わせることによって新しい技術になったという印象です。それこそブロックチェーンのように、前後のレコードをチェーンで繋げていく技術自体は1990年代からあったわけですが、それと分散コンピューティングを組み合わせることでブロックチェーンができた。聞いたことがあるようなものの組み合わせですけど、全体で見るとすごく新しいものだなと感じました。
先日(2024年1月)、ビットコインの現物ETF(上場投資信託)を米証券取引所が承認しました。その後、ビットコイン市場では需要が拡大し、資金の純流入は2カ月足らずで70億ドル(約1兆500億円)を超え、年初から45%余り上昇し、一時は約6万3000ドルを突破しました。これは大きな変化ですね。
平嶋 ビットコインにいつ機関投資家が入ってくるんだみたいことは、これまでにも何回も話題に上がっていましたが、ETF承認のおかげで、見る目が変わってきていて、ポートフォリオに組み入れた方がいいんじゃないかと思う人が圧倒的に増えていると感じています。
ビットコインのボラティリティ(価格の変動性)の高さがETF承認によって、いく分か和らげられるのかなと思うのですが。
平嶋 ボラティリティが他の金融商品より高い状態は変わらないと思うんですけど、変動幅が今までの半分だったり、3分の1ぐらいになってくることによって、ようやく決済として使うところの目線が持ちやすくなるのかなと思います。