勅使川原 真衣氏に聞く
第3回 「答え」の追求がもたらす現代の矛盾

FEATUREおすすめ
聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

「考察」に人気があり「批評」に人気がない理由

YouTubeで映画の解説が人気なのも同じです。自分の意見は重要じゃない。なにかひとこと言うために誰かの意見が欲しいんだそうです。

勅使川原 正しい見方を取り入れると。

そういうことなんですよね。その映画がなにを意味しているかなんて、20年後にわかることだってあるって言っても、おじさんの意見なんで相手にされないんですけど。

勅使川原 そういうことか。先月、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)の著者の三宅香帆さんと対談させてもらったときに、今、批評の人気がないという話が出ました。考察のほうが人気があると。

──面白いですね。「わたしはこう見る」というのは誰も知りたくない。

勅使川原 「それってあなたの感想ですよね」と言われかねません。

──批評は利益をもたらさないってことですよね。考察はコミュニケーションのツールになったりしてベネフィットが明確だけど。

勅使川原 「それもいいよね」になんでならないのかすごく不思議なんですよね。「それはいいけど、これはダメ」っていうのがメリトクラシーだと思うんですよ。トレードオフだと思っているのかな。

空気をものすごく読んで、みんなと同じでいたいという表れでしょうか。それこそエコーチェンバーみたいな話で、狭い世界でみんなと一緒なだけで、隣と衝突が起こるとただの憎悪になるということでしょうか。

1 2 3 4