半導体エネルギー研究所顧問・菊地正典氏に聞く
第5回 日本が無視できない技術大国になるために

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

テクノロジーは最終的にコストパフォーマンスで評価される

先日、沖縄科学技術大学が革新的なEUVリソグラフィ先端半導体製造技術を発表しましたが、それほど話題になりませんでした。研究機関でできるのと実際製造ラインに乗せるのでは違いがあるのですか。

菊地 EUVの光学系をもう少し簡単にできるという発想なんですけど、半導体には“死の谷”があるんですよ。いくら研究開発してうまくいきそうだと思っても、それを量産ラインに乗せてバンバン使えるようになるには大きなギャップがあるのです。テクノロジーの評価というのは、コストパフォーマンスのいい技術かどうかが重要なんです。海水を真水に変える技術がなぜ普及しないかと言えばコストが合わないだけです。テクノロジーの最終的な評価はコストパフォーマンスであって、それに耐えうるものでないと、絶対に新しい技術には置き換わらない。割と日本の場合、そこが軽視されてきたんです。昔は日本の半導体メーカーはコスト積み上げ方式でやっていましたから。

なるほど。コストを下げるということを、テクノロジーの重要な指標だとは考えていなかったのですね

菊地 フィジックス(物理学)とテクノロジー(工学)の違いはコストなんですよ。だから、原理的にできるのと、工業的に価値があるのは違うということです。原理的にできないことは工業的にもできませんが、原理的にできることが工業的にできるかというと、決してそんなことはない。

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