メガ自治体・世田谷区が取り組む「脱・紙管理」
第2回 世田谷区が挑むデジタル・デバイド解消と生成AI活用の現場

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IT批評編集部

まずは職員の意識から先に変えていく

個人情報の扱いについては、相当クリティカルな問題として意識されている感じでしょうか。自治体で個人情報データの流出みたいなことが起きた場合には、全国ニュースレベルの話だろうなと推測するのですが。

中村氏 自治体の信頼に直結することからも、かなり意識して取り組んでおりますが、その点、行政の場合、三層分離1が徹底されてきた経過などが挙げられます。

マイナンバーカードが保険証や免許証代わりになるという意味で、どんどん住民サービスのDXが進んで便利になっていく一方で、なんでもデジタル化していくことに対して、住民からの抵抗感を感じたりはしないですか。

鈴木氏 そのあたりは、まずは職員の意識から先に変えていくというのが最初のステップなんじゃないかと考えています。今回導入した顔認証による勤怠打刻もひとつのきっかけにはなるかなと思います。

世田谷区役所専用の生成AIを内製で開発

最近のニュースを見ていると、生成AIがらみで自治体の事例が増えてきている印象があります。紙と電話の文化でドキュメントが山ほどあるから、AIに読ませるデータには事欠きません。もちろん工夫は必要なんでしょうけど、ドキュメントがたくさんあるから生成AIに対する関心も高いのかなと思ったりするのですが。言語処理系のチャットAIの活用みたいな想定はあるのでしょうか。

鈴木氏 そうですね。今回の勤怠システムでも、CSVだったりUTFだったり、いろいろ扱うファイル形式がありまして、デジタル化に抵抗のある方には、急にハードルが高くなったんですね。そこで中村が、世田谷区のDX推進担当課が作ったChatGPTでマクロのプログラムを組んで使いやすくしました。

なるほど。現場での工夫のレベルで解決したわけですね。

中村氏 そうですね、DX推進担当課の方で「Hideki2」という生成AIチャットボットを内製で開発して、それを各所管で使っています。ベンダーを入れずに内製したということで、ちょっとしたニュースになりました。

最後になりますが、今回、AIベンチャーの顔認証システムを採用したわけですが、自治体として今後、テクノロジー企業に期待するのはどんなことですか。

鈴木氏 ようやく、便利なシステムやツールは積極的に使っていこうという雰囲気が出てきたところです。ですが、失敗すると、悪い印象ばかりが残ってしまい、DX推進の足かせになってしまうことが非常に怖いと考えています。今回の顔認証はうまくいったのですが、セキュアな部分も含めて、ユーザー側が安心して使えるよう、理解の促進を図っていただきたいです。そこは非常に期待したいところです。(了)

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