ソニービズネットワークス代表・小笠原康貴氏に聞く
(2)テレワーク時代の法人向けネットワークサービスとは

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取材・構成  土田 修
IT批評編集部

次の変革期で日本が勝つためにAI普及に取り組む

2020年8月に、AIを搭載した「Prediction One(プレディクションワン)」をリリースしました。数クリックの操作で膨大なデータを解析し、高度な予測分析を自動実行できるツールです。Prediction Oneは、製品開発は親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズが担当して、私たちは販社の役割を担っています。私はソニービズネットワークスの社長ですが、ソニーネットワークコミュニケーションズの法人サービス事業部の副事業部長でもあるので、開発と販売を兼任している感じですね。

まだまだ、Prediction Oneはすごく売れているというわけではありませんが、ニーズの高さは非常に感じています。展示会でも最も人を集めるサービスです。

AIを普及させることをいちばんの目的に置いています。美容室やカレー屋さんなど特別な知識がない人たちが使えるAIにしたいので、簡単に利用できるサービスを普及価格帯に設定しています。

普及価格帯を設定した理由として、インターネット変革期、つまりブロードバンドになってITが加速したときに、日本は出遅れてしまったという反省があります。その中心で関わってきた私としてはすごく歯痒い思いがありました。30年前の時価総額ランキングでは上位に日本企業がずいぶん入っていましたが、今はトヨタぐらいですね。

もう一回、日本企業が巻き返すタイミングがあるはずです。巻き返すにはAIの活用が欠かせません。AmazonのAWSみたいに高度なプロダクト商品をつくってそれを大規模に展開することは、私たちみたいな従業員300人の会社がやるのは無理ですが、Prediction Oneのようなデータ分析ソフトウェアを広く一般的に使ってもらうことはできるはずです。日本中の企業がAIを使う、それこそカレー屋さんでも美容室でもみんなAIで分析しているという状況を日本で実現できれば、この次にくる変革期では、世界にプレゼンスを示すことができるでしょう。

もちろんAIやブロックチェーンを開発する人材の流出など、たくさん課題はあるのですが、自分たちでコントロールできないことを案じても仕方がないので、できることをやっていこうと思います。普及価格帯での挑戦はそのための選択肢です。しかも数あるAIのなかでも様々な会社に適応しやすい商品ということころも大事だと考えています。

ハイブリッドな働き方が増えることで総務の仕事も大きく変わる

クラウド型勤務支援ツールである「somu-lier tool(ソムリエツール)」には、始業前に従業員が体温や体調を報告する体調管理機能があります。この機能は実際にソニービズネットワークスが新型コロナウイルス感染対策のため、テレワークに移行した際の気付きがきっかけで開発されました。

今、テレワークが定着する傾向があるなかで、精神面も含めた社員の健康維持に注目が集まっています。当社もコロナ禍において、テレワークにおける社員の健康管理に課題を感じていました。マイクロソフトオフィスに付属しているアンケート機能を使ってフォームをつくり、社員に体調はどうですかというアンケートを日々とっていたのですが、これからの時代、社員のコンディションをきちんと把握することが求められてくるだろうと考え、社員のコンディション見える化ツールとして「somu-lier tool」を開発しました。

新型コロナウイルスが収束して以前の働き方に戻るかというと、おそらく出社とテレワークのハイブリッドになるでしょう。テレワークで顔が見えない不安感というのは、アフターコロナでも解決するべき課題として残ると思います。

このツールを使うことによって、会社側としては、具合が悪いとにきに具合が悪いと言っていいですよと示していることになります。それは精神面でも体調面でもです。テレワークでの課題は、空気を読むという行為が難しく、情報は能動的に発信しないと共有できません。そのため具合が悪くても無理してしまいがちになります。実際にツールで具合が悪いときに具合が悪いと言ってよいと示していることは、インプットする以上の効果があるのではないかと感じています。実際、私の会社でも、ツールを使うことで社内の雰囲気が変わるのを目の当たりにしています。

ソニービズネットワークスはどこにある会社ですかと聞かれて、渋谷のマークシティですと答えられる時代ではなくなっています。なぜなら社員の半分は仮想空間で仕事が成立しているからです。そうなると、総務やHRの仕事もこれまでよりも大きな領域を相手にしなければならなくなります。しかし、人的リソースには限界がありますから、補助的なツールを使っていかないと無理だと思います。明らかに社員の働き方が変わっているわけですから、それに対応するやり方も変わらざるを得ないはずです。新型コロナウイルスの感染対策だけの過渡的な対応では済まないというのが私の考えです。

ハイブリッドの時代には安定したネットワークが事業活動の生命線になる

総務・HRのDXはまだまだこれからです。帳簿をエクセルに変えただけでは、まだデジタル化止まりだという気がします。さらにAIなどの技術を活用することで、DXと呼ぶにふさわしい変化を遂げるのだと思います。構造化データと非構造化データが組み合わされて、次のDXが始まると予想しています。大多数の企業では、今はまだ、構造化データにすることを総務・HRはやっている最中だと思います。

最後に今一度、出社とテレワークのハイブリッドという視点で見ると、ネットワークのクオリティがますます問われるようになるというのが私の持論です。例えば、10名で会議を行う場合、以前は会社で全員顔を合わせてアナログで会議をやっていましたが、今は会議出席者10名中3名がテレワークですと言った瞬間に、会社にいる7名が意外とバラバラに会社からビデオ会議につないで7本の通信が発生し、ネットワークにデータ通信が流れます。どれだけ安定したネットワークを構築しているかが、会社が事業活動をしていく上では非常に大きな要素になってくるので、「NUROアクセス」という商品はこれからの時代にさらに有望なサービスだと思っています。ネットワークのことを理解してサービスを作ってきた会社だからこそ、ハイブリッドの時代にみなさんの事業を支えていくクオリティの高いサービスを投入していきたいと思っています。(了)

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