mixiからはじまったSNSはどのような変遷を経てmixi2に至ったか
第4回 やがてTwitterがXになりmixi2がはじまった

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寄稿者 荻窪 圭
フリーライター。東京農工大学工学部数理情報工学科卒。学生時代にパソコン誌のライターとしてデビューして約40年。現在はIT系の他、デジタルカメラの記事も手がけつつ、趣味が嵩じて街歩きのガイドも行う。近著に『古地図で訪ねるあの頃の東京』(実業之日本社)等。

SNSが肥大化し、本来の「人とのゆるいつながり」を失いつつあるなかで登場したmixi2は原点回帰を掲げ、ゼロから始める新しいSNSとして注目を集める。シンプルな設計と豊富なリアクション機能で、気軽で穏やかなコミュニケーションの場を提供する。若い世代は新しいSNSとしてmixi2を発見してくれるだろうか。

目次

旧mixiを一切受け継がないmixi2

代表的なSNSの変遷を見ていると、当初のmixiやFacebookが担った「「知人同士、あるいは同じ趣味を持った同士がオンライン上で交流する場」から、「個人メディア」的に使われたり、「ポータルサイト」的に使われたりとどんどん幅が広がっていったのがわかる。SNSとひとことで済ますと全体を見誤るのだ。

肥大化し、ポータルと化し、人との交流というSNSの当初の姿とは随分かわってしまったTwitterがその代表といえよう。肥大化したことでさまざまな人々が(それこそ、インプレッション目的のアカウントがAIを使ってコメントをつける現象すら散見される)勝手気ままに暴れる様子に辟易する人は多く見られる。

そんなおり、Twitterが2022年にイーロン・マスクに買収され、2023年にXと名前を変え、Instagramチームが開発したタイムライン型のSNS「Threads」が2023年に誕生。

ThreadsはInstagramアカウントを使うことでInstagramユーザーが中心であることや、最大500文字のテキスト投稿が可能なことから、Xとは少し異なった雰囲気のSNSとなっている。

そして、2024年12月、突如としてmixi2がリリースされた。

特筆すべきは、従来のmixiはそのままサービスを続けながら(mixiが終わったわけではないのだ)、それらの情報を一切受け継がない新しいSNSとしてmixi2をリリースした点にある。

mixiとmixi2はロゴもアプリも違う。mixi2は今のところスマートフォン専用だ。

SNSの原点に立ち返る

名前こそmixiとついているし、運営会社も同じであるが、従来のmixiのアカウントもそこでのマイミクもいっさい引き継げず、新しくアカウントを作ってゼロからはじめるSNSなのである。老舗SNSとなったゆえにユーザーの年齢層も高く、SNSの使い方も固まっているmixiアカウントを持つ人を再結集させるのではなく、それまでの歴史はいったんおいといて、まっさらな状態から「SNSの原点に立ち返ろう」という意思を感じる。

mixi2の体裁はTwitter型、つまり短文投稿がタイムラインにずらりと並ぶ方式だ。そういった意味でXと見た目はあまり変わらない。mixiやFacebookのような「フレンド」関係を基本としたつながりにはしていない。

Twitterのようなフォロ−/フォロワーという関係にとどめているし、mixiの特徴だった「足あと」もない。より「ゆるくつながる関係」を模索している感じだ。

デフォルトでは「フォローしている人」の書き込みと、参加しているコミュニティへの投稿が混在して並ぶ仕様となっている。

ユニークなのが投稿に対するリアクションの手段。XやThreadsでは「いいね」をタップするか文字でコメントするしかないが、mixi2では豊富な「リアクション」が用意されており、文字を手でいれずとも感想を伝えられる。

テキストにエフェクトをかけたり(エモテキ)、豊富なリアクションを用意することで殺伐となりづらい雰囲気を作っているわけだ。

投稿に対して付けられるリアクションの例。日本語を使った気持ちによりそうものが多いのがわかる。これは良いアイデアだ。

実際の投稿の例。投稿に「エモテキ」をかけてあり、簡単なアニメーションが表示される。それにたいして、4種類のリアクションがついている。

ゆるいコミュニケーションにはmixi2

おかげで、見知らぬ人から明後日の方向からのコメントを受けづらい。XやThreadsではよくそういうシーンを見て閉口するが、mixi2はある程度知っている人どうしのコミュニケーションを重視しているのだ。

一見、なんてことないシンプルなSNSだが、Xが肥大化したことを受けた設計になっていると感じる。

mixi株式会社によるリリースに、『巨大なユーザーネットワーク」を持つSNSは、レコメンドアルゴリズムに基づいた情報選別により「ニュースメディア化」が進み、日々の出来事を投稿したり、身近な友人や知人と交流することが難しくなっています。』とあった。

まさにその通りで、Xは情報収集や情報発信にはいいが、SNSの原点ともいえる、知人友人や、同じ趣味嗜好を持った人とオンラインでゆるくつながるサービスとは離れており、mixi2は原点回帰を目指したと思っていいかと思う。

逆に云えば、ポータルとして、あるいは情報収集にはXが、キラキラした写真や動画で承認欲求を満たすにはInstagramが、遊び場として楽しむにはTikTokが、ゆるいコミュニケーションにはmixi2がとなれば理想的なのだろう。

Xかmixi2か、ではなく、XはXで巨大SNSとしてチェックしつつ、mixi2は身近な人と気軽にやりとりするゆるいSNSとして静かに息づいていくという道であり、その「ゆるさ」が従来のmixiから受け継いでいるテイストであり、他のSNSにはない点といえよう。

気になるのはmixi2がどこまで広がるか。

従来のmixiは「mixiモバイル」をきっかけに10〜20代の若年層に大きく普及した。今のmixi2は従来のmixiを知る世代を中心に肥大化したSNSからの避難場所として飛び付いているようにみえる。

若年層は、常に自分たちの世代にあった新しいコミュニケーションサービスを求めている。前述したように、Instagramのストーリーズであったり、TikTokであったり、常に新しい居場所を探して動いており(自分たちがかつてそうであったように)あり、そういう層に新しいSNSとしてmixi2が発見され、仲間を引き込んでくれるかが大事かもしれない。(了)