速報! IT批評から生まれた書籍第2弾
『ぼちぼちはたらくAI共生論』Vol.3 編者からのメッセージ
ぼちぼちはたらくAI共生論
桐原永叔・IT批評編集部(編著)
風濤社刊
定価2200円(税込)
46判並製
装丁:永松大剛
IT批評から生まれた書籍第2弾!ついに発売
2025年12月4日店頭発売
編者から読者へ
(本書「まえがき」より抜粋)
AIというのは何者なんでしょうか。わたしたちにとってどんな存在なんでしょうか。
職場でいつも競争をしかけてきて隙あらばマウンティングしてくるアイツみたいな存在なのか。それとも身近に寄り添ってくれる親兄弟や友人のようなものか。あるいは、このやりきれない世界を生き抜くための頼れる仲間なのか。
ChatGPT-3.5の公開以降、生成AIの浸透は圧倒的なスピードで進んでいます。電車のなかで高校生が「それ、ChatGPTに聞いてみた?」なんていう会話をしています。ちょうど「ツイートした」なんて言葉が日常語になった15年ほど前や、「メールする」というのが日常語になった20数年前のことを思い出します。いまは今後、数十年の常識が生まれる時代の変わり目なのです。
まさにいま、AIがみんなのものになる。これぞITのオープン思想の根幹「テクノロジーの民主化」です。しかしながら、わたしが気にしているのは「テクノロジーによる民主化」です。テクノロジーがどれだけの人を救ってくれるのか、です。
最近では、デジタル民主主義なんてことが言われるようになりました。オードリー・タンさんの著作などでよく知られています。「PLURALITY(多元生)」なんていうコンセプトもでてきています。
この本はある部分、ある意味でこの「PLURALITY(多元生)」とも響き合うものです。現代の職場における生きづらさを考えながら、それを解決しうる提案として多様性受容の考え方や方法、そしてテクノロジーによる社会階層の変化について論じているからです。
日本は「ドラえもん」の国です。わたしたちの未来やテクノロジーの視線に、ドラえもんがいます。現に、ドラえもんをつくりたいというエンジニアや研究者、経営者の方に何人も会ってきました。そのたびに「ドラえもんが示す未来っていったいどういう未来なんだろう?」と考えてきました。あるとき思ったのです。ドラえもんそのものを考えるより、ドラえもんとのび太の関係を考えることが、テクノロジーと、それがもたらす未来を考えることになるのではないかと。
のび太というキャラクターは冒頭に述べた後方集団の象徴的なメンバーなのではないでしょうか。いまいちばん苦しい後方集団にとって必要なテクノロジーとは、のび太にとってのドラえもんではないか。それが「テクノロジーによる民主化」に通じる道ではないか。
この本では、能力主義社会という過酷な現実に対し苦しんでいる多くの人たちに、わずかでもその救いとなるような話を求めてみなさんにインタビューをしてきました。それはとりもなおさずわたし自身がこの社会のなかで息苦しさを感じているからなのです。
だからこそ、AIを効率化や自動化のためだけのものにしたくないのです。テクノロジーは功利的な目的を離れたとき、もしかするともっとも人のためになるのかもしれません。そのときが、AIと生きる時代なのだと思えます。
テクノロジーを手にしたマイノリティがプルラリティを実装して、新しい社会、新しい生き方を生みだすヒントになれば、それが読者の重い気持ちを軽くすることができれば編者として望外の喜びです。(TEXT by 桐原永叔)
IT批評から生まれた本、第1弾『生成AI時代の教養』も絶賛発売中!