ソフトウェアからハードウェアへ IT技術25年周期説で占う未来 第3回
「計算・記憶・検索」を超え、UIだけで「生成」を実現するハードウェア戦略
次の25年のデバイスの皮切りは、おそらくス小型デバイスに生成AIを搭載したものになると私は考えている。
みておきたいのは、より軽量な「GPT-4o mini」がこの7月に展開されはじめたり、Microsoftから小型言語モデル (SLM:Small Language Model)を搭載したオープンソフト「Phi-3」が公開されたりしていることだ。小型言語モデル (SLM)は、大規模言語モデル(LLM)に対してパラメータ数が少なくして必要最小限で使いやすさを優先したものだ。
「Phi-3」のみならず、Googleの「Gemma」「Gemini 1.5 Flash」もでてきており、日本企業からもSLMのリリースが続いている。2024年3月、NTTが「tsuzumi」を提供したのにつづき、NECも2024年4月、「cotomi」をリリースした。
こうしたSLMが搭載されることでより利便性の高いデバイスが出てくるだろうし、その進化は数年で一気に伸びる可能性がある。
同時にウエラブルデバイスとの融合のようなことも想定できる。いっときのブームはやや冷めたようだが、スマートフォンの次にくるデバイスとしてはずっと古くから予測されている。生成AIを搭載したウエラブルデバイスは、映画『マイノリティ・リポート』や漫画『ドラゴンボール』などの作品で有名なスカウターよりももっと高機能なものになるかもしれない。
マイノリティ・リポートの原作はSF小説の大家フィリップ・K・ディックの「マイノリティ・リポート(旧題:少数報告)」である。この短編は『マイノリティ・リポート: ディック作品集』(浅倉久志、他訳/ハヤカワ文庫)に収録されている。
マイノリティ・リポート: ディック作品集
浅倉 久志 訳
早川書房
ISBN:978-4150112783