大阪大学社会技術共創研究センター長・岸本充生氏に聞く
(2)AIがAIらしくあるようにする重要性
機械は嘘をつかないというアプローチが一番まずい
岸本 先日、リストバンドで脈拍を測って中学生の集中度を測る試みがTwitterでプチ炎上していましたが、あれも怖いですね。一番怖いなと思ったのは、そのテクノロジーを提供している側が、「脈拍はうそをつかない」というコメントを出していたことです。つまり、人はうそをついたり間違ったりするけど、機械には間違いはないという確信です。
桐原 AIは間違わないという認識は怖いですね。これはいろんな人に質問しているのですが、去年の暮れのワールドカップの「三笘の1ミリ」をどうご覧になりましたか。人間の判定よりもAIの判定のほうに人々は信頼を置くようになりました。
岸本 あれは1次データだからいいんです。ドローンで機械の腐食とかを見付けるのと同じで、人間の目では分からないものを判別するのに使うのは構わないと思います。しかし、それに対して、「集中度」は脈拍という1次データから推測したプロファイリングで2次データなんです。人の感情をプロファイリングするのは一番慎重でなければならない。発想としては嘘発見器と一緒です。
桐原 しかもなぜなのかは説明できないですよね。
岸本 こういう理由でこういうデータになりましたと説明できるならば、別に使い方はあると思います。それを機械は嘘をつかないみたいなアプローチでいくのが恐ろしい。似たような研究も、まさに僕の周りでいろいろやられていますが、研究倫理審査を通してやっています。社会実装となるとまたレベルが全然違いますからね。
関連記事
-
REVIEW2025.06.17共同主観的ネットワークの虚構と生成AIのハルシネーション ──ハラリ『NEXUS』が示唆した領域
第2回 繋がりは自由を生むか、支配を招くか ネットワークの現在地2025.06.17テキスト 桐原 永叔 -
FEATURE2022.11.17サイバー空間という闘争領域とその拡大
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 小宮山 功一朗氏に聞く(1)2022.11.17聞き手 都築 正明 -
FEATURE2022.02.15グローバルIT企業とNGOで活躍する安田クリスチーナ氏に聞く
(2)人の幸福に寄与するテクノロジーにコミットすること2022.02.15聞き手 桐原 永叔