半導体のカーテン、コンピューティングパワーの天井
技術、経済、地政学から現在の論点をみる
第1回 ソフトウェアは半導体の限界を突破できない

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テキスト 桐原 永叔
IT批評編集長

 製造プロセスから技術的なポイントを探る

 

半導体はその用途からみても、コンピュータ、スマートフォンはもちろんゲーム機、家電といったどこの家庭にも見られる製品にも搭載され、社会インフラとしても交通、通信、医療、各種製造には欠かせず、AIやドローンといった先端技術の根幹そのものだ。こうしてみれば現代社会はもはや半導体が無関係なものを探すほうが難しいほどで、用途の多様性はますますひろがる一方であろう。わたしたちの生活、そして社会は半導体によって担われ大きな変化を遂げているのだ。半導体の進化が次の日常を生みだしていくといっていい。
半導体を精密部品としてだけみても、CPU(MPU)、GPU、ロジックチップ、メモリーチップ、センサー、マイコン、パワー半導体など、大別できるだけでも数種以上に分類される。
これが半導体開発の技術となると、工程ごと部材・部品ごとに細分化され、それぞれに技術革新を繰り返し一朝一夕ではとても獲得できないところにまで進化しており、安易な概説は退けられてしまう。
半導体の製造プロセスにおける工程数は実に400〜600あるとされている。ここまで言っておいてなんとも無謀なことだが、半導体の製造プロセスの概要を少しおさえておこう。
半導体の通販サイト運営会社であるチップワンストップの創業者・高乗正行氏の『ビジネス教養としての半導体』(幻冬舎MC)をもとに、日本半導体製造装置協会(SEAJ)のサイトを参考にする。

 

ビジネス教養としての半導体
高乗 正行 著
幻冬舎
ISBN978-4344940994

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