理論を実践に 先駆者が語る半導体開発の軌跡
半導体エネルギー研究所顧問・菊地正典氏に聞く 第1回

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聞き手 桐原 永叔
IT批評編集長

研究開発だけではなく“お金を稼げる”舞台に身を置く

 

──大学卒業後はNECに入社されました。

 

菊地 じゃあどこで半導体をやるのがいいかというと、あの頃はNECですよね。半導体をやりたいんだったら、ぜひこの部門に行ったほうがいいだろうとNECの集積回路の部署に配属されて、そこから本格的にスタートしました。

 

──それが60年代のいつぐらいですか。

 

菊地 私はいま80歳ですから、1966年ぐらいです。入社して、トランジスタで信号を制御するというようなことをやったんですけど、そのうちに電卓の時代が来て、半導体が電卓に使われるようになって、シャープとかカシオとかセイコーエプソンからの電卓用の注文を受けて、それ用のICをつくっていました。で、それが本格的なNECでの集積回路のキャリアの始まりだったんです。

 

──企業のなかの研究職という立場ですか。

 

菊地 私はやっぱりエンジニアだから研究開発だけじゃなくて、お金を稼げるような舞台に身を置くのもいいんじゃないかと思い、量産のほうに移りました。NEC山口に生産技術部長として出向して、そこでいわゆるものづくりの現場を見ていました。そこで4年間やっていたのですが、新しい技術も出てきているしということで研究開発に戻って、今度は相模原のNECで研究開発の最先端部署に移りました。

 

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