ソフトウェアからハードウェアへ IT技術25年周期説で占う未来
第2回 スマートフォンに代わるデバイスの登場

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テキスト 桐原 永叔
IT批評編集長

デバイスが「記憶」を提供するようになったパーソナルコンピュータ時代から、スマートフォンの時代に入り人々に提供されるようになったのは「検索」だ。「検索エンジン」を通じてインターネット上の情報を検索することが欠かせない日常生活になっている。

わからないことを調べることを「ググる(Googleで検索する)」といわれるほど、それは日常化している。人々は、コンピュータから新しい情報を得る、知らないことを教えてもらうようになった。

デバイスから「計算」「記憶」「検索」の機能を提供されてきたことを振り返ったが、重要なことはこれらの機能が時代ごと、デバイスごとに入れ替わったというわけではない点だ。それらは過去のデバイスがもっていた機能に追加されていく。パーソナルコンピュータでは計算もできるし記憶もできる、スマートフォンには計算や記憶の機能のうえに検索の機能が付加されているわけだ。あるいは記憶を検索するというような活動が日常になるという点でわたしたちの生活も変わる。検索はまた記憶され、記憶はそれを計算の対象にする。

マクルーハンに倣ってデバイスが身体の拡張であると言ってみれば、デバイスの機能は絡み合って生活のみならず人間そのものを変容する。テクノロジーとヒトは共振する。

それでは次の25年で登場を予測しうるデバイスの形態を考えてみよう。「計算」「記憶」「検索」の次にくるものから想像してみる。

それは現在のChatGPTをはじめとする生成AIの使い方に表れる。わたしたちは「検索」において、「◯◯とは?」といった文章を打ち込むことで機能を求める。

では、ChatGPTをはじめとする生成AIにおいてはどんな文章によって機能を求めるか。それは「◯◯して(ください)」ではないだろうか。依頼、指示の言葉だ。それは自分の代わりに何かをさせることである。

熟語にすれば、そのものずばり「生成」となる。

 

IT技術の25年周期とメインとなるデバイスの変遷

第3回に続く

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