ソフトウェアからハードウェアへ IT技術25年周期説で占う未来
第2回 スマートフォンに代わるデバイスの登場

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テキスト 桐原 永叔
IT批評編集長

 

ポスト・スマートフォンを考える

 

生成AIのデバイスとは、それは果たしてどんなものであろうか。

そのデバイスをもってして生成AIはきっと老若男女のものとなるだろう。それがテクノロジーの結晶だなどと考えることもなく、テクノロジーは民主化するのだ。

どんなデバイスの登場を予測できるか。それは、これまでの75年を担ってきたデバイス、すなわちメインフレーム、パーソナルコンピュータ、スマートフォンがわたしたちに対してどんな機能を提供してきたかがヒントになる。

ENIACがそもそも弾道計算のために開発されたことが象徴的なように、メインフレームで人がやったことはさまざまな「計算」だ。

それが、汎用性のあるCPUの開発によって、人はパーソナルコンピュータというデバイスに「記憶」を求めた。それはまず単純にデータのストレージといったことだろう。仕事の書類も電話帳も写真アルバムも(個人の)パソコンのなかに納めるようになったことをもって「記憶」の代行といえることも指すのだが、それ以上に、コンピュータに計算以上のさまざまなタスクを実行させるプログラムの重要な機能が、メモリ(記憶装置)だという点を忘れてはならない。

半導体の開発史においても、メモリはこの時代の日本の産業においても最重要なものとなっていた。1970年代から1990年代にかけて日本の各企業はメモリチップの開発と製造において世界をリードしていたのだ。とくに1980年、DRAM市場において日本企業の独占といってもいい状況となり、これがアメリカとの間で貿易摩擦を生む。

1986年に「日米半導体協定」が締結され、日本市場の開放と技術移転が進められるようなり、それは2000年代の韓国のサムソン、SKハイニックスの台頭を許すきっかけといわれている。

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