mixiからはじまったSNSはどのような変遷を経てmixi2に至ったか
第2回 Twitterの誕生とiPhoneの登場

2008年、iPhone 3Gの登場がSNSの勢力図を変えた。mixiが携帯電話向けに特化する中、スマートフォンに適したTwitterが急速に台頭。利用者の「mixi離れ」が加速した。さらに、FacebookやLINEなど新たなプラットフォームが世代ごとに支持を集め、SNSは多様化の時代へ突入した。
荻窪 圭
フリーライター。東京農工大学工学部数理情報工学科卒。学生時代にパソコン誌のライターとしてデビューして約40年。現在はIT系の他、デジタルカメラの記事も手がけつつ、趣味が嵩じて街歩きのガイドも行う。近著に『古地図で訪ねるあの頃の東京』(実業之日本社)等。
目次
スマートフォンの登場で進んだmixi離れ
現在、SNSの代表といわれるTwitter(現X)がサービスを開始したのは少し遅れた2006年だった。
Twitterが日本で使われはじめたのは日本語版がリリースされた2008年。
この年に何があったかというと、iPhone 3Gの発売である。
Twitterという短いテキストをリアルタイムでつぶやく(そもそもTweetは小鳥がさえずることを示す動詞だ)にはモバイル端末が非常に向いていた。
わたしがTwitterをはじめたのもiPhone 3Gが発売された7月11日。iPhone 3Gの入手を待って登録した記憶がある。
今でこそSNSとひとくくりにされがちだが、Twitterとmixiは大きく異なるものだった。
大きな違いは他のユーザーとのつながりかただ。
mixiは互いにつながる「マイミク」が基本で、ある意味クローズドな交流を楽しむことができた。
対してTwitterはフルオープン。「つぶやき」と称する140文字以内の短文はタイムラインという形でずらっと時系列で表示される。
利用者同士は「フォローする」「フォローされる」関係でつながるが、それぞれ独立しており、一方通行のフォローが可能だ。フォローされたからといってフォローし返す必要はまったくない。読みたい人は勝手に読みに来てね、読みたい人のツイートを勝手に読みにいくよという自由度が特徴だった。
Twitterは誰もが出入りできる広大な広場で各々の場所で各人が好きなことをつぶやいており、広場を散策しながら他の人のつぶやきを聞いたりそれにコメントしたり、自分がつぶやいたりする場。
対して、mixiは街の中にそれぞれが自分の部屋を持っていてそこに友人が訪問したり、公民館みたいな場所(コミュニティ)に集まると考えればわかりやすい。
両者は大きく異なっており、そもそも共存が可能なものであり、そのまま共存していって不思議はなかった。
ただ、iPhone 3Gが登場した頃から雲行きが怪しくなっていく。mixi離れとも呼ばれた現象だ。
当時、様々な面から言及されたが、サービス当初からmixiを使っており、なおかつiPhone 3Gを発売日に購入したわたしから見ると、スマートフォン、特にiPhoneへの対応が遅れたのが大きかったと思う。
SNSのもつリアルタイム性はモバイル端末でこそ生きる。
当時mixiは携帯電話(ガラケー)に特化した「mixiモバイル」で一世を風靡しており、まだほんの一部のアーリーアダプター層しか手にしていないiPhoneのためのアプリ開発は優先順位が低かったのか。あるいはiPhoneはWebブラウザを持っていたので、パソコンと同じ感覚でフル機能を使いたい人はそちらを使うと思われたのかもしれない。
最初のmixiアプリこそ2008年に登場したが、使える機能がかなり限定されており、ガラケー上のmixiモバイルに慣れた人には許容できないレベルのものだった。mixi体験がガラケーより後退したのである。
当初のmixi公式アプリ。あまりにできることが少なく、多くのユーザーはサードパーティのアプリか、ブラウザを利用した。