mixiからはじまったSNSはどのような変遷を経てmixi2に至ったか
第1回 SNSの先駆けとして登場したmixi

mixi誕生から20周年を迎えた2024年冬、突如として「mixi2」という新しいサービスが開始された。大々的な発表会をするでもなく、ひっそりと……でも瞬く間にめざとい人々にみつけられ、サービス開始から約1週間で登録者数が120万人を超えたそうである。Twitter時代から大きく変わってしまったXとの対比もあって大きな話題となったが、単にXかmixi2かという問題じゃない。Xの前身であるTwitterが誕生してから、いや、SNSというものが誕生してから、その求められるものやコンセプトはどんどん変化しつつ広がっており、その歴史の上に初代mixiやmixi2を把握しないと瞬間的な話題の消費になりかねない。
世間ではSNSとひとことでまとめられがちだが、SNSというジャンルは意外に幅広く、だからこそいくつものサービスが変遷を経つつ共存してきたのだ。そんななか、mixi2はどの流れに位置し、なぜ今新サービスがはじまったのか。初代mixiの初期から知るものとして、歴史をおいつつ、mixi2の立ち位置をさぐってみたい。
荻窪 圭
フリーライター。東京農工大学工学部数理情報工学科卒。学生時代にパソコン誌のライターとしてデビューして約40年。現在はIT系の他、デジタルカメラの記事も手がけつつ、趣味が嵩じて街歩きのガイドも行う。近著に『古地図で訪ねるあの頃の東京』(実業之日本社)等。
目次
mixi2は招待制。このようなインビテーションを発行でき、受け取った人はアカウントを作成できる。
SNS元年となった2004年
SNSの歴史と拡散という観点から見ると、SNSの原型はもっと前、インターネット以前の「パソコン通信」の時代に求めていいかと思う。リアルに顔を合わせずとも、リアルタイムでなくとも他人とコミュニケーションを取れるオンライン上の空間という意味では、当時のCompuServeやAOL、日本ではNIFTY-ServeやPC-VANといったサービス上で展開されたチャットやBBS(Nifty-Serveではフォーラム)やメッセージ(当時は同一サービス上でのみやりとり可能な電子メールだった)は考えてみると今のSNSと変わらない。
やがて商用インターネットがはじまり、1990年代にSNSの原型といえるサービスが誕生するが、SNS元年は2004年といっていいかと思う。
今から21年前である。
2004年1月にGoogleによってSNS「orkut」がサービスを開始(2014年に終了している)。
2004年2月にはFacebookがサービス開始(当初はハーバード大学の学生向けだった)。
そして2004年3月にはmixiが正式サービス開始(プレオープンは2004年2月)したのである。日本オリジナルのSNSがFacebookやorkutと同時期にリリースされたのだ。
mixiの「mixi歴」表示機能を見ると、なんと2004年2月29日に登録していた。プレオープンの段階で友人から招待を受けたのである。