生成AIはメディア制作にどう影響を与えているのか
第4回 コンテンツ制作者に求められる新たなリテラシー

生成AIが急速に普及する中、ライターや編集者などコンテンツ制作者は、新たな生存戦略を求められている。情報検索や記事作成の効率化に役立つ一方で、生成AIによる情報の誤りや、メディアへのアクセス減少といった問題も浮上している。我々はこのAI時代にどのように向き合い、生き延びていくべきか──。
荻窪 圭
フリーライター。東京農工大学工学部数理情報工学科卒。学生時代にパソコン誌のライターとしてデビューして約40年。現在はIT系の他、デジタルカメラの記事も手がけつつ、趣味が嵩じて街歩きのガイドも行う。近著に『古地図で訪ねるあの頃の東京』(実業之日本社)等。
目次
我々は生成AI時代をどう生き延びるのか
かくして、ChatGPTをはじめとする生成AIは、書く側としては、作業効率をぐんと上げ、無駄な時間を減らしてくれるありがたい存在であるが、懸念もある。
生成AIが膨大な情報を食べてくれることで役立っているが、我々は生成AIに情報を食べられてしまう側でもある。
先日、編集者やライターと飲みながらAI談議をしていたら、ひとつの懸念が提示された。
人々が何かを調べるとき生成AIに頼る時代にメディアは成り立つのか。
Xを使っていても、誰かのポストやニュースで気になることがあれば、それがなんなのかGrok3に尋ねるのが一番速いし、Googleも検索をかけるとスポンサーの前に「Search Labs | AIによる概要」が表示されるようになった。簡単なことならそこを読めばすむ。
すると人々が知りたい情報の検索を生成AIに頼るようになり、メディアの元記事に当たらなくなっていく……すると元記事のアクセス数が減り、広告収入に影響を与える。個人メディアではアフィリエイト収入の減少につながる。
むしろ問題はそこだろう。
最近の生成AIはどのサイトをソースにしたかも一緒に明示してくれるが、そこまでチェックする人はさほどいないはず。
サブスクやコラボなどいくつか手はあるが、持続可能なメディアのあり方は知恵を絞っていかねばならなさそうだ。
AIに尋ねてみると。
生成AIの普及は、Webコンテンツ業界に大きな挑戦をもたらしますが、同時に新たなチャンスも提供します。コンテンツ制作者は、変化を恐れず、柔軟な発想と積極的な行動で、この変革期を乗り越え、新たなWebコンテンツの未来を創造していくことができると信じています。
重要なのは、AIに代替できない、人間ならではの価値を見出し、それを最大限に活かしたコンテンツ制作に注力することです。そして、常に変化を予測し、新しい技術やトレンドに敏感に対応していく姿勢を持ち続けることでしょう。
だそうである。まあそうでしょうな。
ただ、今までも紙媒体からWeb媒体へ移行したときのように大きな波はあり、波の来る間隔がどんどん短くなっている感はあるけれども、これからも常にメディアを囲む状況は変化しつづけるのであろう。
つまるところ、生成AIを使って安い単価で大量生産して……という暗黒面に落ちることなく、積極的に複数のサービスに……それも継続的に当たって自分にあった使い方をみつけ、知見をほじくりだし、能力を補い、持ち上げてもらいつつ、自分の足を使って走るしかなさそうである。
好むと好まざるとにかかわらず、既に我々はAIに……明示的ではないものも含めると……日常的に世話になっており、その中でどう生き延びていくかというのはなかなか面白い挑戦だ。