過疎地の交通を支えるラストワンマイル・モビリティの可能性
第2回 「最後の一歩」を埋める未来の足とは?

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テキスト 吉田メグミ

電動スクーターや小型EVのシェアサービスが次々に登場する中で、本当に必要とされている「ラストワンマイル・モビリティ」は何かが問われている。過疎地の高齢者や移動困難者の足を支えるには、都市部向けのサービスでは不十分だ。自動運転やワイヤレス給電など新技術が、その可能性を切り開こうとしている。

 

 

吉田メグミ

フリーライター。パソコン誌などの紙媒体、企業オウンドメディアや WEB マガジンなどの WEB 媒体での記事作成を広く手がける。Autodesk Design&Make編集・執筆・海外記事のローカライズ担当。ココカラ編集室代表。

 

目次

インパクトに欠けるカーシェアリング

過疎地の高齢者や弱者を救うラストワンマイル・モビリティとは

あともう一歩、をカバーするために

 

 

 

インパクトに欠けるカーシェアリング

 

日本でも電動スクーターの安全性や無謀運転などに対する非難の声は日々高まっており、免許の所持義務のない運転者が違反や事故を起こした時の対処は今後どうなっていくのかなどの懸念もあるが、そもそも電動スクーターシェアリングがラストワンマイル・モビリティとして有効なのか、という点ではやや疑問が残る。構造上、道路の整備された都市部での利用にしか向かないし、LUUPのステーションが多い地域でも、駐輪場の自転車が減っている様子はあまり見られない。また、大きな荷物を持って乗車できない、比較的健全な身体能力のある人でないと運転が難しいといった点でも電動シェアサイクルとほぼ同等の存在であり、ローカル線やバスの廃止で失われたラストワンマイルを埋めるものにはならないだろう。

また、日産自動車と横浜市が共同で実証実験を行っていたチョイモビヨコハマ(現在はサービス終了)やトヨタ自動車が豊田市で実証実験を行なっていたHa:mo(現在はサービス終了)で扱っていたような小型EV車シェアリングに関しても、運転者が必要という意味では自家用車と同じで、ラストワンマイルの交通手段というにはインパクトに欠けていた。

 

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