電子少額決済のユーザビリティ

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F e l i C a ポートという実装システム

ネットショッピングでEdyを利用する場合、PCに搭載されているFeliCa ポートにかざすだけで決済が可能なのをご存知だろうか。ソニーのVAIOをはじめ、FeliCa ポートを搭載しているPCは多い。

PCだけでなく、TVのリモコンにもFeliCa ポートが搭載されはじめ、TVを見ながらの決済が可能になっている。

「ソニーのTV、BRAVIAのリモコンには、手元のスペースにFeliCa ポートが搭載されています。有料放送なども、そのまま決済ができます」

情報サービスと決済サービスが近づくことは、ユーザーニーズに適っている。FeliCa ポートを活用した物流サービスとの連携も視野に入っている。

「2010年6月からは、ヤマト運輸で宅配便の決済ができるようになります。セールスドライバーさんの持っているハンディ端末に、電子マネー決済機能が搭載され、荷物の受け取りや集荷のときに、その場で決済できます。ハンディ型の機材に搭載するというのは、初めての試みになります」

FeliCa ポートが他社にはない有用な実装システムであることが見えてくる。

 

電子マネーの生むシナジー

電子マネーはさまざまな業種との連携で大きなシナジーを生みやすいといえるのではないか。

「ダイワロイヤルホテルズやホテル東急では、宿泊した方にEdy1000円分をプレゼントするキャンペーンを展開しています。複雑な販促プログラムを組んだり、面倒な手配をしたりする必要がなく、Edyを使ったキャンペーンなら手軽にできます。このほかにも先日、東武百貨店で行われた楽天主催のイベントが開催されました。楽天市場の人気店をリアルの場に出店しようという趣旨で開催されましたが、Edyの端末を各店舗分準備し、全店でEdyがご利用いただけるようにしました。Edy決済も非常に好評でした」

現在、各企業ではモバイル会員を増やす傾向が強い。そんななかで、Edyの携帯電話向けのサービスは企業にもユーザーにもメリットのあるものとなっているようだ。

「ケータイは、液晶画面と通信機能が最大の特徴です。ケータイだけで、Edyの残高や6件までの履歴も確認できます。クレジットカードを登録すれば、ケータイの通信機能でチャージをすることができます。もちろん、ケータイを使ったネットショッピングの決済も可能です」

Edyは独立系ならではと思えるサービスも展開していることを付記したい。それが「Edyでポイント」というおサイフケータイでのサービスだ。

「『Edyでポイント』は、おサイフケータイのEdyで支払いをしていただくと、あらかじめ設定したポイントが1つだけ貯められるサービスです。設定できるポイントは、貯めている方が多い9種類のポイントサービスから選ぶことができるといったものです。ANAマイレージクラブ、楽天スーパーポイント、Tポイント、ヤマダポイント、ヨドバシゴールドポイントなどから貯めるポイントを選ぶことができます。場合によっては、2重でポイントを貯めることもできます。

たとえば、ファミリーマートでお買い物をする際、Tカードを提示すると100円でTポイント1ポイントが貯まり、ANAマイレージクラブを設定したおサイフケータイのEdyで支払うと、200円で1マイルが貯まります。このように、TポイントとANAのマイルを同時に貯めることができます」

ポイントを選ぶことができるのは画期的なサービスだが、同業他社のポイントが選べることは問題がなかったのだろうか。

「私たちは、中立な立場で電子マネーを普及させたいと思っています。各企業には、その点に関して賛同していただいています。あくまでも、ご利用者の方のメリットを優先しました」

 

資金決済法が示した課題

今後、電子マネー利用シーンは多様化し、増大することが予想されるが、利用者が増え、利用シーンが増えれば、それだけ安全性などさまざまな課題がでてくるだろう。

2008年5月から資金決済法の検討が開始された金融審議会でも、利用者に対する保護と利便性の向上が議題の中心になったそうだ。

「資金決済法について、事業者間でも議論となっていましたが、サーバー型の電子マネーなどと違い、IC型のEdyではもともと十分な利用者保護を行ってきましたから、とくに大きな変化はありません。電子マネー市場全体として、資金決済法施行により利用者保護や安全性が向上することは、望ましいことだと思います」

同審議会では、アンチマネーロンダリングや為替取引とプリペイドカードの違いなどで議論が白熱したようだ。

「Edyは、現金に払戻しすることができません。したがって、Edyを電子的に送付しても為替取引にはあたらないということです。とはいえ、資金決済法によって金融庁管轄下に入ったということは、ますます厳格なコンプライアンスが求められ、利用者保護が十分でない業者は淘汰されていくでしょう」

 

Edyの考える電子マネー

「ビットワレットは、設立して10年になりますが、一貫して生活環境の利便性向上を目的としています。ライフスタイルを変えたいということですね。発行開始当初から『簡単』『便利』『スピーディ』という標語がありましたが、最近では、それに加えて、『楽しい』『お得』といったことをテーマにしたいと思っています。

『楽しい』ということであれば、現金を使うシーンでエンターテインメント性を持たせることです。Edyで支払いをするとき、『シャリ〜ン♪』と音がするのもその一つです。支払ったときに、爽快感がでるように音にはこだわっています。

そして『お得』ということであれば、どこでも使える、いつでも使える、誰でも使えることを目指さなければなりません。そのために、利用店舗の拡大は必須となっていますし、インターネットでの利用も対応していかなければならないと思っています。

楽天グループに入ったことで、さまざまなサービスをさらにスピーディに展開していけるのではないかと感じています」

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