激化するポイントサービス競争

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ユーザーメリットをめぐって

ユーザーがポイントを貯めるためには、できるだけ集めたいポイントの種類を絞り込んだほうがいいのはいうまでもない。多数のポイントを、少しずつ集めても利点が少ないためだ。

では、集めるポイントを決めるために、ユーザーは何をす

るかといえば、各々の行動線を把握する。

たとえば、コンビニエンスストアは必ず家の近くのセブンイレブンに行くというユーザーは、nanacoを選択する。マイルを貯めたいユーザーは、JALやANAのカードを所有するわけだ。

電子マネーをよく使うユーザーなら、クレジットカードでチャージしたときにポイントが付くカードに乗り換えるという場合も多い。クレジットカードから電子マネーへチャージしたときのポイントの付与率の違いで、ユーザーは収集するポイントを決めるというわけだ。

ポイントビジネスを展開する側としては、ユーザーの日常の動きに従ってサービスを提供するのが理想といえるが、なかなか難しいのが現状かもしれない。

最近、注目しているポイントサービスについて佐藤氏は、「Suicaでは、Suicaポイントが付くのはビュー・スイカカードやモバイルSuicaなどに限定されていたのが、2010年の春から記名式のSuicaでも、ポイントが付くようになりましたね。これで、ポイントが付く人も増えたでしょう。Suicaは、毎年春にいろいろと機能が追加されているが、2010年でやっとここまできたという感じですね。

どんなクレジットカードや電子マネーを使うかは、最終的にどのポイントを貯めたいのか、ということによると思います。全体としては、突出してお得になるという組み合わせはなくなってきているのが現状といえるのではないでしょうか」とのことだ。

 

地域との共存を図り、オープン化が進むWAON

日常の買い物のなかで、ユーザーが比較的ポイントを貯めやすいのは、やはり電子マネーだろうか。基本的に電子マネーは少額決済が基本なので、それほど高いポイントを稼ぐのは難しい。佐藤氏は電子マネーについて、こう話す。

「WAONが利用件数やユーザー数を伸ばしています。決済金額がほかの電子マネーより高めなのが特徴です。やはり、イオンのスーパーで利用するケースが多いのかもしれません。

nanacoの場合は、セブン│イレブンやデニーズ、そしてイトーヨーカドーの食品売り場で(2010年6月より衣料品、住まいの品の売場でも)利用できますが、WAONの場合は、基本的にイオンのテナントを含めた全部の店舗で利用できます。また、吉野家やファミリーマートでも利用できるようになり、オープン化が進んでいるようです。

さらに注目すべき点は、地域の商店街と組んで、利用できるようにしていますね。地域通貨的な扱いを狙っているといえます。

nanacoの場合、ポイントが付くのはセブンイレブングループだけですが、WAONの場合は、どこで買っても200円で1ポイント付きます。すべてのお店でポイントを付けるようにするのがWAONの戦略で、それが人気の要因といえます」

09年12月には、NTT東日本が、フレッツ光メンバーズクラブでポイントプログラムを開始。OCNのポイントサービスとは別に付与されるポイントで、入会特典として2100ポイントがもらえるというサービス。無料登録をするだけでサービスがスタートする。

2010年春には、日本生命でもポイントサービス「サンクスマイル」がスタート。これは、長期契約で継続していくとマイルが貯まるというものだ。

コンビニエンスストアやスーパーなど、小売店が中心だったポイントサービスを実施する業界は、着実に広がっている。

逆に、ポイントサービスから撤退する企業としては、09年では、みずほ銀行がサービスを停止。また、千葉銀行もサービスを止めるとのことだ。

クレジットカード会社のように収益が悪かったり、銀行のようにうまくいかなかったりするケースもあるが、基本的には、今後もポイントサービスは増えていくだろう。さらなるポイントサービス競争の激化が予想される。

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