流行タームで追うIT業界
2000年問題
Y2K問題、ミレニアム・バグとも呼ばれた。20世紀当時はコンピュータのプログラムにおいて西暦の年数を下二桁で表すことが当たり前だったが、そのため2000年を迎えたときにプログラム内部で1900年と混同されて誤作動が起きるのではないかといわれた問題。
停電や、交通機能の停止、ミサイルの誤発射、通信機能の停止などが危惧された結果、1999年末に向けて世界各国のプログラマが総動員で対策に追われた。
マスコミがさんざんに煽った結果、2000年の新年を迎えるときには鉄道も飛行機も運転を停止するなどの騒ぎになったが、予測されたような問題はほとんど起きずに終わった。
2000年問題への対処については批判の声もあるが、IT業界は逆に特需で儲かったため、表立った批判は少ない。
フロッピーディスク
ほんの20年ほど前まで、パソコンの携帯用記憶媒体は1.44MBの3.5インチフロッピーディスクが主流だった。
同じ磁気ディスクでも、ハードディスクに比べて薄かったためにフロッピーと呼ばれたこの記憶媒体は、今でも多くのソフトウェアの保存ボタンのアイコンとして、ありし日の姿を留めている。
その容量が小さかったゆえに、90年代になると600MB近く記憶できるMO(光磁気ディスク)やCD‐ROMにその座をとって代わられ、今ではGB単位のUSBメモリやDVD‐Rが主流となっている。
また一部ではドクター中松こと中松義郎がフロッピーディスクの発明者だと言われているが、構造の一部について開発メーカーであるIBMと特許契約を交わしているだけで、メインの開発者であったわけではない。
トロン
1982年に作られたディズニーのSF映画、ではなく、1984年に東京大学の坂村健教授によって提唱された、コンピュータ・アーキテクチャ再構築プロジェクトの名称。
The Real-time Operating system Nucleus でTron と名づけられた。
トロンプロジェクトによって策定されたOSは、安定性に優れ、現在は携帯電話や自動券売機などに搭載され、組込型コンピュータの基本ソフトとして、市場占有率で世界一を誇っている。
80年代、パソコン用のOSとしてトロンを開発し、学校で使う教育用パソコンに導入しようという動きがあったが、アメリカ政府がトロンに対しスーパー301条を適用しようとしたため、政財界の協力が得られず実らなかった。
当時トロンが完成していれば、国産OSが日本のパソコン市場を占拠していたと悔し紛れに語られるが、携帯電話の現状を見るに、ガラパゴス化といわれるような事態にならなかったとも限らないだろう。