流行タームで追うIT業界
ネットスケープ・ナビゲーター
略称ネスケ。1994年にリリースされたウェブブラウザ。初のウェブブラウザともいえるモザイクの商用版がネスケであり、当時は誰もがネスケを使っていた。
Windows95 とともにマイクロソフトがインターネット・エクスプローラー(略称IE)を開発してからは、OSと一体化したIEに徐々にシェアを奪われていく。第一次ブラウザ戦争とも呼ばれたシェア争いに敗れたネスケは、98年にAOLに買収される。一時はタイム・ワーナーまで買収して世界最大のコングロマリットとなったこのインターネット接続サービス会社は、期待に反して業績が伸び悩み、今や単なる一ネット企業である。
買収とともにオープンソース化したネットスケープも尻すぼみに開発が停止されたが、そこから派生したFirefox が10年後にIEの牙城を脅かして第二次ブラウザ戦争になるのだから世の中はわからない。
ポストペット
略称ポスペ。1997年からソネットエンタテインメントが販売した電子メールソフト。無機質で合理的な設計が多かったメールソフトに、ピンクのクマがメールを運ぶというメルヘンチックな仕掛けを持ち込み、大きな話題になった。
表現は画期的だったが、互いにソフトをインストールしなければならないという不便さと、肝心のメール機能の使い勝手の悪さから流行にまではならず、ソーシャルメッセージングサービスに衣替えした末に、2010年にサービスを終了した。
開発者の八谷和彦はポスペによってメディア・アーティストとして注目を浴び、近年では「風の谷のナウシカ」に出てくる一人乗り飛行機メーヴェを実際に作るというプロジェクトでも有名である。
アイボ
1999年にソニーが発売したペットロボット。Artificial IntelligenceroBOt でAIBOという商品名になった。
発売当初はネット限定で3000台の販売だったが、定価25万円にも関わらず開始20分で完売するほどの人気を博した。
翌年からは通常生産となり、第31回星雲賞ノンフィクション部門を受賞するなど社会的にも話題となる。
2005年に新たなソニーCEOとなったハワード・ストリンガーのリストラ再建策の一環で生産終了となったが、エンターテインメントロボットと呼ばれる新たな市場を作り出し、多くの模倣品を生み出した功績は大きい。
鉄腕アトム(アストロボーイ)以来続く、ロボット大国ジャパンのイメージを世界中に知らしめたものの、いかんせん玩具としては高額すぎた。