任天堂はなぜ勝者となりえたのか〜ハードとソフトのシナジーなきプラットフォームはない
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2013.06.10
ゲームニクスは「日本のおもてなしの文化」の集大成
ゲームニクスは概念ではなく、具体的な技術書であり詳細なチェック項目を持っています。その内容は大きく5要素あり、それぞれに細分化した構成となっていますが、概要を知っていただくために、以下に第二項目まで列記します。
- 直観的で快適なインタフェース
- 操作と入力の基本理論
- 入力デバイス特性に対応したUI設計
- マニュアル不用のユーザビリティー
- 操作誘導の画面情報
- マニュアルの組込みとその提示方法
- はまる演出
- ゲームテンポとシーンリズム
- ストレスと快感の バランス
- 発見する喜び
- 意欲を持続させる仕掛け
- 音楽理論の導入
- 段階的な学習効果
- 目標設定
- 最初にレベルによる振り分けをする
- 段階的に難しくしていく
- 選択肢や行為を増やす
- 習熟度による展開分岐
- リアルとバーチャルのリンク
- 内部化と外部化
- リアルの抽象と誇張
- プレイデータの活用
- ライフログの活用
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これらの項目の下にさらに小項目が連なっていて、全600項目からなるツリー構造を有した構成となっています。
こうした内容の原点は、茶の湯に代表される極めて日本的な価値観である「おもてなしの文化」に由来します。人を夢中にさせる「ゲームニクス」とは、常にプレイヤーの先回りをしながら押し付けがましくなくさりげないサポートの集大成なのです。人を迎え入れて快適な時間を提供するには「相手に気付かれてはならない」という作法があり、これ見よがしの歓待の演出といった押し付けはユーザーの自由や利便を損なわせてしまいます。あくまでも受け身であるユーザーを主体として招き入れ、常に前向きな感覚で製品に臨んでもらわなければならない。まさに「究極のおもてなし」です。