ウェブは“空間”を資源化する〜ソーシャル時代の情報空間論 第3回

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鈴木謙介 著

オンライン(ウェブ)とオフライン(リアル)との間における、ヒト・モノ・カネ・データの交通が激しくなっている。O2O、オムニチャネル、IoT……、キーワードは無数にあり、ウェブとリアルの融合は進む。では、リアル空間がウェブ情報と切り離せなくなったとき、それぞれをどの視点から評価すればよいのか? 内包される問題について、精力的な活躍を続ける社会学者が論じる。

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空間の意味を生み出す要因

情報空間が保つ意味は「空間の解像度を上げる」「空間に新たな意味を付与する」「空間の意味を上書きする」といった性質のものに区分できる。それに加えて、何が空間の意味を生み出す要因になるかという点においても、いくつかの種類がある。

特に空間の解像度を上げるような意味が生み出される際に用いられるのは、「その空間が固有に持つ情報」ということになるだろう。地形情報や住所、特定の場所からの距離、建物内の施設の場所などの情報がそれに当たる。ただそれだけに、こうした要素は、どちらかといえばスタティック(静的)で、変わりにくいものである場合が多い。もちろんカーナビのように「今いる場所から目的地までの所要時間」などのダイナミックな情報を想定することもできるが、それはむしろ空間の情報というよりは、移動の情報というべきだろう。空間に新たな意味を付加するような情報空間の場合はどうだろう。この分野には、近年のウェブでトレンドとなっているような技術がいくつも用いられている。たとえばそれは「AR(Augmented Reality =拡張現実)」と呼ばれている。AR技術において空間に新たな意味を付与しているのは「空間に紐づけられた情報」だ。その場所が本来持っている情報ではないが、特定の場所にある情報を結びつけることで、意味の空間を創り出すのである。

空間に紐づけられた情報は、後付けでその場所に付与された情報であるため、空間固有の情報よりはダイナミックな性質を持つことができる。セカイカメラのエアタグはその代表だ。一方でマーカー型のARや観光に関する情報はむしろスタティックなものになる。空間に紐づけられた情報によって生み出される意味の空間には、ダイナミックなものとスタティックなものが混在していると言えるだろう。

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