任天堂はなぜ勝者となりえたのか〜ハードとソフトのシナジーなきプラットフォームはない

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企業トップの哲学が製品作りのカギとなる

ゲームニクスとは、モニターの中の世界とモニターの外側の我々とをストレスなく繋げ、効率よくプレイヤーに情報を伝達するためのノウハウともいえます。スーパーマリオクラブで培ってきた徹底的したユーザー目線で、モニターの中の臨場感ある世界をいかにダイレクトにユーザーに伝え、いかにデバイスを通してユーザーの感情をモニターの中に反映していくか、そしてこの情報の循環性をいかに高めていくべきか。それにたいしての解答なのです。

ボタンだらけのリモコン、分厚いマニュアル、操作性の悪い画面デザイン。そこにはユーザー目線が全く感じられません。どんなに革新的な技術でも研究者のエゴの押し売りではユーザーには届きません。一般のユーザーにとって一番大切なのは、先進性ではなく、必要な機能をストレスなく快適に使えることなのです。そして快適に使ってもらうために重要なのがインターフェイスデザインであり、 手触り感の良い操作感ということになります。ゲームニクスという操作性のノウハウは決して日本ローカルなものではありません。30年もの間、日本のゲームで世界が遊んでいるのですから、すでに世界スタンダードとなっているのです。

しかしその実現のためには、ハードとソフトの分業や仕様書優先のコスト管理とモノ作りという制作体制そのものを変える必要があります。それは会社の体質そのものを変えることでもあり、そう簡単に実現できるものでありません。

そこで重要なのが会社トップの判断です。「ハードとソフトの徹底したシナジーの実現」はトップの哲学があって始めて成立するものなのです。アップルにそれが出来ているのもスティーブ・ジョブズというトップに権限が集約していることが理由ですし、任天堂があれだけ大きな規模の企業になったにもかかわらず、トップの陣容が何十年もほとんど変化していないのは、かつて小規模であった頃のモノ作りの企業体質を維持するためでもあります。

企業トップの確固たる哲学がなければ、機能を絞ったうえでの手触り感の良い製品づくりは不可能といっても良いでしょう。しかしインタラクティブを主体とした製品であれば、日本文化にはそれができる下地があるのです。任天堂の躍進と成功はそれを示しています。

世界は日本発の快適なIT商品を待っているのです。

※『IT批評 創刊1号 特集:プラットフォームへの意思 クラウド、SNS、モバイル、ゲーム、日本企業はルールの策定者になれるのか?』 掲載記事から一部を改変しています。
『IT批評』
http://shinjindo.jp/contents/it.html
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