EV(電気自動車)は未来の車たり得るのか

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小野泰治

未来の自動車の燃料となるのはなにか? 自動車産業の変革はAIだけではない。ハイブリッド、EV(電気自動車)の次に来るのは燃料電池車(FCV)となるのか。

 

EV開発の現状を日本と海外で比較する

 

EV(電気自動車)というと最近ではアメリカのテスラに話題を奪われている感もあるが、実用的な量産EVのパイオニアと言えるのは日本勢。2009年に三菱がiミーブを発売、翌2010年には日産がリーフの発売を開始し、いずれも現行モデルとして売られている。

リーフについては当初アメリカと日本のみの発売だったが2012年からは世界規模でリリースを開始。2015年には累計販売が20万台を超え、量産EVとしては圧倒的な存在感を放っている。昨年、世界的なトップセラーの座こそテスラ・モデルS(約5万台)に譲ったが、リーフも4万台以上を販売して2位に。

また、最近膨大な予約受注を獲得したことで話題を呼んだテスラ最新のモデル3と比較しても、リーフが依然十分な価格競争力を持つことも魅力のひとつと言えそうだ。そんなリーフと比較すれば日本国内の販売台数こそ累計で1万台強と控えめだが、三菱iミーブも堅実な実績を残している。

こちらも歴としたワールドプレーヤーで北米や欧州でも販売。フランスのPSA(プジョー・シトロエン)グループにも供給され、プジョーではION(イオン)、シトロエンではC-ZEROを名乗る。なお、EVに熱心な日産と三菱は、前述の乗用車だけでなく商用EVを日本で販売していることも特筆すべきポイントのひとつだろう。

さて、そんな量産EVのトッププレーヤーでもある日本勢だが現状で技術的に突出した部分は存在しない。動力源の電気モーターを車体前部、あるいは後部に搭載して電力の供給元としてリチウムイオンバッテリーを組み合わせる点はiミーブもリーフも他国のEVと何も変わらない。

トランスミッション(変速機)を必要としないEVの場合、その構造はエンジン車よりむしろシンプル。だからこそテスラのような新興ベンチャーや自動車製造の歴史が浅い中国勢が台頭する余地もあるのだが、乗用車としてのEVの弱点である航続距離の短さ、あるいは充電時間の長さを克服しているメーカーは日本勢を含めて存在しないのが実情だ。

スペック上、最新版のリーフで満充電時の航続距離は280㎞(日本仕様)。ボディが小さいiミーブは最大で180㎞(同)。大量のバッテリーを積むテスラには公称で500㎞を超えるモデルも存在するが、急速充電を駆使しても8割程度の電力量を回復するのに数十分は必要とする。近年は充電施設が増えているとはいえ、数分で給油が完了するエンジン車と比較すれば、その使い勝手が見劣りすることは否定できない。

だが、実はそんなEVの弱点を克服する存在も日本ではすでに発売されている。水素と空気による化学反応で電気モーター用の電力を作る燃料電池車(FCV)がそれでトヨタがミライ、ホンダがクラリティ・フューエルセルの名前でリリースを開始。水素供給の社会環境が整っていないだけに現状では「勇み足」と言われても仕方がないが、EVを凌ぐ存在に成長する可能性は十分にある。

 

Writer:
小野泰治 Yasuharu Ono
自動車評論家・ライター。自動車専門誌の副編集長をへて、2010年からフリーランスとして活動。運転が好きでレースの出場経験もある。
Photo credit: Michael Gil / CC BY
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