ビックデータ解析により、知られざる睡眠薬の処方実態が明らかに ~うつ病・更年期障害との関係は?~

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インテージホールディングス傘下の株式会社インテージテクノスフィア(本社:東京都西東京市、代表取締役社長:須川壮己)は、2015年12月1日の労働安全衛生法改正による「ストレスチェック制度」の開始を受け、健康保険組合の加入者を対象とした働き盛り世代のメンタル関連疾患と睡眠薬の実態調査を実施しました。


分析者:株式会社インテージテクノスフィア 医薬情報部アナリスト 村田純一
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調査サマリー
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● 睡眠薬の処方期間は1か月以内が46.5%
睡眠薬*1の服用を始めると長期化するというイメージがありますが、短期の処方で治療終了するケースが多いことがわかりました。不眠症状がある場合は早い段階で積極的に受診していただきたいと思います。

●処方されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系が78.3%
睡眠薬の処方量をタイプ別に集計するとベンゾジアゼピン系が78.3%、非ベンゾジアゼピン系は20.2%であることがわかりました。国内では、依然としてベンゾジアゼピン系の処方が主流となっています。

● 抗うつ薬と睡眠薬の併用により、抗うつ薬の減量達成率アップ
抗うつ薬*2と睡眠薬を併用している患者と抗うつ薬のみを処方されている患者を比較した場合、併用患者の方がその後の抗うつ薬減量率が上昇しており、睡眠薬が減薬に寄与する可能性が高いことが示唆されました。

●うつ病治療終了後の睡眠薬処方率が17.4%
うつ病寛解後の残遺症状として睡眠障害が残ることは広く知られていますが、実際に睡眠薬により不眠対策をしている方が一定割合存在することがわかりました。

● 更年期障害のある方の睡眠薬処方率は19.8%
更年期女性*3の約半数が不眠と言われていますが、今回の調査により、睡眠薬処方率は19.8%であることがわかりました。更年期で不眠症状があるにもかかわらず、適切な薬物治療を受けていない方が数多くいると推察されます。

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調査概要
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調査方法:
健康保険組合の健康情報データ(特定健診・レセプト)の匿名化されたデータを元に分析。
調査対象期間に医療機関にかかった20歳~69歳までの19.1万人を対象にメンタル関連疾患と睡眠薬の処方分析を行った結果をまとめました。
調査実施機関:株式会社インテージテクノスフィア
調査期間:2013年4月~2015年3月

*1 : ATC分類法(解剖治療化学分類法)にてN05B催眠剤/鎮静剤または一般名にてエチゾラムに該当する医薬品。
*2 : ATC分類法N06A 抗うつ剤および気分安定剤に該当する医薬品。
*3 : ICD10 (国際疾患分類10版)にて更年期障害(N95.1 閉経期及び女性更年期状態)に該当する疾患。

◆睡眠薬の処方率は年齢とともに高くなる◆
年齢別の睡眠薬の処方率は、25-39歳では4%程度ですが、40-44歳4.6%、45-49歳5.2%、50-54歳6.3%と加齢とともに高くなり、65-69歳では9.4%となっていました。

図1:年齢別睡眠薬の処方割合(n=10,245)

◆睡眠薬の処方機関は1か月以内が46.5%◆
図2:睡眠薬服用期間の割合(n=10,245)

◆処方されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系が78.3%◆
睡眠薬の処方数量の薬剤タイプ別構成比では、短時間作用型(ベンゾジアゼピン系)が54.4%と最も高くなっています。超短時間型、中間作用型、長時間作用型のベンゾジアゼピン系とあわせると、78.3%はベンゾビアゼピン系が処方されていることがわかりました。

図3:睡眠薬処方数量の構成割合(n=10,245)

◆一日の規定用量(ジアゼパム換算値15mg)以上の処方が7.6%◆
睡眠薬の一日あたり処方用量をジアゼパム換算値で等価換算すると7.6%の方が1日の最大投与量である15㎎を超えた処方がされていることが分かりました。複数の医療機関から同様の薬剤を処方されているケースが散見されます。

図4:一日あたり睡眠薬処方用量の構成比(n=5,483)

◆うつ病治療終了後の睡眠薬処方率17.4%◆
うつ病治療時から睡眠薬を併用していない割合は52.6%、睡眠薬を併用しており抗うつ薬の終了と同時に睡眠薬も終了した割合が29.9%。残りの17.4%は、抗うつ薬終了後にも睡眠薬の処方を継続していました。うつ病寛解後にも残遺症状として睡眠障害が残る方がおり、その対処として睡眠薬が処方されているようです。

図5:抗うつ薬処方終了後の睡眠薬処方患者構成割合(n=1,714)

◆抗うつ薬と睡眠薬の併用により、抗うつ薬の減量達成率アップ◆
抗うつ薬と睡眠薬を併用している群と睡眠薬を併用していない群とで抗うつ薬の減量達成率を比較したところ、睡眠薬併用群での減量達成率は30.2%にのぼり、併用していない群の減量達成率17.8%を大きく上回っていることが分かりました。うつ病治療の際には、抗うつ薬に加えて睡眠薬を併用することで、抗うつ薬を減量できる可能性が高くなることがわかりました。

図6:抗うつ薬減量達成率(n=1,545)

◆更年期障害のある方の睡眠薬処方率は19.8%◆
更年期障害で通院している方の年代別睡眠薬処方割合は55-59歳で最も高い24.1%、更年期障害該当者の多い45-49歳、50-54歳ではそれぞれ16.9%、19.5%といずれも20%以下でした。40-64歳までを平均すると19.8%となりますが、更年期女性の約半数が不眠と言われていることを考えると、更年期で不眠症状があるにもかかわらず、適切な薬物治療を受けていない方が数多くいると推察されます。

図7:更年期障害と年代別睡眠薬の処方割合(n=2,931)

監修:東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授小曽根基裕先生からのコメント

不眠症は罹患頻度の高い代表的な睡眠障害の1つです。成人の30%以上が入眠困難、中途覚醒、早朝
覚醒など、いずれかの不眠症状を有し、6~10%が不眠症に罹患していると言われています。不眠は、眠気、倦怠感、集中困難、抑うつや不安など様々な精神・身体症状を伴うことが多く、長期欠勤や生産性の低下、産業事故の増加、医療費の増加など、人的・社会経済的損失をもたらすことが明らかになっており、特に働き盛り世代の不眠症治療は大変重要です。
不眠症治療の基本は、睡眠衛生指導と薬物療法です。日本の睡眠薬処方は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬
が中心で、今回の調査結果でも約80%はベンゾジアゼピン系睡眠薬が処方されていました。2013年に公表された「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」では、高齢者には非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のみが推奨されています。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、リスク・ベネフィット比が不良であることがメタ解析等で明らかにされてきています。働き盛り世代の不眠症においても、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬など、より認容性の高い睡眠薬の使用が望まれます。睡眠薬に対する不安や誤解も根強く残っていますが、睡眠薬は服用し続けるものではありません。「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」においても、不眠症診療の出口を目指した治療が推奨されおり、不眠症が治れば睡眠薬を止める時代になってきています。不眠症状が続く場合には、そのままにせず、主治医や産業医、専門医に相談しましょう。
うつ病と睡眠の関係は深く、うつ病患者の約90%に症状としての不眠を認めます。逆に、不眠症を訴える患者に最も高頻度で認められる精神疾患はうつ病であり、慢性不眠症はうつ病の発症リスクを約2倍高めることが知られています。
また、うつ病治療後にも不眠は最も頻度が高い残遺症状として対処に窮することが多いです。残遺症状はうつ病の再発リスクを3~6倍高め予後を悪化させる大きな要因となるため、睡眠薬を併用する治療を「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」でも推奨しています。今回の調査結果でも、睡眠薬を併用した方が抗うつ剤の減量達成率が高く、うつ病治療とあわせて不眠症状の早期治療に取り組むことが必要です。不眠症状がある場合は、慢性化する前に、専門の医師へ受診することが望ましいと考えます。
更年期にあたる世代の女性は、仕事や家庭環境による社会的ストレスの影響から、更年期症状のなか
でも特に頻度が高いのは不眠であり、更年期障害の約半数が不眠です。今回の調査結果では、更年期障
害と不眠症を併せて治療している患者は約20%に留まっていましたが、更年期女性の不眠はうつ・不安との関係が強いため、併せて治療をおこなうことが重要です。

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会社概要
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株式会社インテージテクノスフィアhttp://www.intage-technosphere.co.jp/

株式会社インテージテクノスフィア(本社:東京都西東京市、代表取締役社長:須川壮己)は、インテージグループの一員として、グループのITを牽引するとともに、先進ITと業界・業務専門性でお客様のビジネス課題を解決します。テクノロジーを駆使し、データの新たな価値を創造し、お客さまの企業価値を高めるマーケティング活動に貢献します。

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報道機関からのお問い合わせ先
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経営企画部担当:渡邊
TEL:042-423-1156 FAX:042-423-1179
MAIL:itsp-pr@intage.co.jp

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本調査内容に関するお問い合わせ先
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医薬情報部担当:村田/ 井上
TEL:042-423-1156

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